いくつか撮影や機材に関する記事を書いてきましたが、基本的にWEBデザイナーとしてWEBサイト制作時に必要な素材の調達という趣旨で書いてきました。間違っても「プロカメラマンが」という視点ではありません。
このような視点で考えた際に、記事で紹介した機材が必要かどうかを少し考えてみようと思います。
何のための撮影か?
サイト制作の素材のための写真撮影と考えた場合、単純に考えてサイトに使える写真があればよいという結論に達します。
趣味の写真ではなく、自分を表現するための写真でもありません。商品を説明し、ユーザーにこちらが意図する印象を与えるための写真が必要です。また、紙に印刷する必要はありませんが、ディスプレイでよい具合に見えなくてはいけません。
自分で自分のサイトに使うために撮る場合は別ですが、サイト制作ではクライアントの意向に従って撮るのが基本です。つまり、撮るべき写真はクライントの指示に従います。
このように考えると、サイトに使える写真には色々と制限があることが分かります。とても当たり前のことなのですが、好き勝手に撮れません。あくまで、目的のある写真を撮るための撮影です。
どこまで機材を用意するべきか?
私が所持している撮影機材は、ほとんどが入門レベルの機材です。ですが、モノブロックストロボやライトディスクなど専門性の高い種類の機材でもあり、それなりの値段と機能を有しています。
仮に、制作会社が制作部隊の一員としてカメラマンを雇っている場合には、私の持つ機材以上のものを用意していることでしょう。個人でオークションをする程度なら手作り機材でお手軽に撮影しているはずです。
ここで前段の「何のための撮影か?」という点に立ち戻って考えてみると、目的を達成できるだけの機材が必要であると言えます。
では、モノブロックストロボやスピードライト、ライトディスクや露出計は必要でしょうか?
メイン照明は要検討
スキルを機材で補えるところはありますし、機材でスキルを補えるところもあります。その辺りは、自分が何ができないかで考えた方が最小限の機材購入で済むでしょう。
ただ、商品撮影であれば照明だけは購入を考えた方がいいです。なぜなら、照明がなければ環境光(室内照明や外光)でしか撮影ができませんから。
環境をコントロールできる場合
仮に、他の人がいないスペースで周囲を暗くできるのなら、定常光の照明(ライトバンク等)が良いかもしれません。
光量はストロボに比べると弱いですが、商品撮影の被写体は動きません(動くのはもちろん除外で)から、シャッタースピードを遅くすることで明るさを稼げます。また、大抵のライトバンクにはディフーザーがくっついていますので、買い足す必要はありません。陰側には白いボール紙ででもレフ板をつくり、反射光を調整すればなんとかなるでしょう。
環境をコントロールできない場合
もしも私のように店先で撮影するしかなく、環境が全く整えられないのであれば。モノブロックストロボなどの強力な光や、その光を柔らかくするためのライトディスクのようなディフューザーが必要でしょう。
周囲が映り込むものは基本的に撮り辛いですが、最悪の場合は撮影ドームで覆って外から照明を当て、無理矢理撮ることもできます(これは特に我流な方法なのでおすすめしませんが)。
屋外で撮影
屋外にセットを組んで外光のみで撮影する方法もありますが、風も吹けば時間帯も限られるので簡単ではありません。もちろん、その辺りを考慮して対応すれば可能ではあります。
私は何度か外で商品を撮影したことがありますが、色自体はきれいに出ます。さすが日光。夏の日差しの元で撮影すれば、当然夏っぽい光で撮れますし、季節感という意味では良いのかもしれません。薄曇りなら、光は十分に回ってくれますし。
スピードライト一灯で撮影練習
モノブロックを進めておきながらなのですが、私はロケ撮影ばかりなので軽い方がいいのです。切実に。軽くて、かさばらない方が。
という訳で何とかならないものかとNikonのスピードライトSB-700のみで撮影練習時々やっています。…結論から言うとまだまだですが。とりあえずず、撮影したものをお見せします。こういう感じで良いからという方がいるのであれば、下記の機材で撮影できます。なお、台紙は除きます。
- カメラ
- 三脚
- レフ板(ボール紙でもスチレンボードでも可)
- スピードライト(発光部が可動働するもの)
- レリーズケーブル
場所は普通の部屋で、周囲は白壁ではなく棚やらなにやらいろいろあります。窓は閉めてできるだけ外光をシャットアウト。露出はある程度調整しています。
テスト写真
全体的に光量不足ですね。ISO500でこれだと。後の写真もそうですが、SB-700の光をバウンスさせた壁までが遠かったので、手持ちのライトディスクを壁のかわりに使うべきだったのかもしれません。
ちなみに、この被写体は撮影用の小物として購入しているものです。
こちらも設定は同じです。アングルのせいもあるのですが、壁にバウンスさせているために思った以上に全体に光が回りすぎて、陰影がありませんでした。構図的には良くない写真です。
こちらは絞りをF4にして手前の鳩に焦点を当てたものです。奥がよりくらくなっていますね。
ちなみに奥がオレンジ色っぽいのは、段ボールにあたった光が段ボールの色の影響を受けた反射光になってしまったためだと思われます。右側が窓でして、そこからの外光を防ぐ目的で段ボールを使ったのですが…黒い紙を貼り忘れていました。
右の写真は外光のみで撮影しています。できるだけ奥まで焦点を合わせたかったので、絞り値はF22にしました。
しかし、この絞り値では全く光量が足りませんでしたので、シャッタースピードを15秒にして撮影。この設定でこの写真が撮れました。なお、三脚を使っていてもシャッタースピードが遅い場合には、レリーズケーブルなどのカメラに振動を与えない方法が必要です。こういった気遣いが、ピントのぶれた写真を撮らないためには重要です。
前述しました定常光での撮影と同じ理屈の写真でもあります。足りない光量はシャッタースピードを遅くすることで確保、という具合ですから。
もっとも、ライトバンクを使えば15秒などという長い秒数は必要ないでしょう。
結び
一番機材がいらないのが外光を用いた撮影です。しかし、当たり前ですが光の質や角度に融通が利きません。季節や時間で変わる点も注意が必要ですし。このように安定性に欠けますが、そういう写真が良い場合であるならば問題はないでしょう。
安定性に欠けるようではだめならば、やはりメインとなる照明は必要です。どれがいいかは環境や撮りたい写真や被写体によって様々ですから、カメラ屋や照明専門店で相談するか、いろいろな写真撮影の本を見て決める方が良いと思います。
なお、必ずという訳ではありませんが、高額な機材ほど調整の幅が広く機能が多く、柔軟な撮影が可能です。撮りたい写真のイメージが具体的な方ほど、機材は良いものを使わないと表現できないでしょう。結局のところ、微調整の勝負ですから。
以上、長々と書きましたが、必要な機材は目的から考えると自然と搾られますので、慌てず迷わず冷静に。
なお、SB-700のご紹介やブロックを使った写真などがもご覧いただけますので、ご興味のある方はごらんください。
ストロボの別の使い方
今回は普通にストロボを使っていましたが、暗いところで全体的に明るく撮れる(というと語弊がありそうですが)スローシンクロという方法もあります。
具体的には、シャッタースピードを遅くしてストロボを使う方法です。最初に強い光で被写体に光を当て、他の暗い部分を明るくするために必要なだけシャッターを閉じません。つまり、ストロボ撮影とストロボなしでシャッタースピードを遅くする撮影の混合法ですね。
便利なのですが、私はまだうまく使えませんので、今回は出せる写真がありません。撮れましたら、また今度ということで。
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