Office Live Small BusinessからMicrosoft Office 365へのご無体な移行

OLSBからoffice365への移行
OLSBからoffice365への移行

先日サイトのリニューアル案件のご依頼を伺ったのですが、リニューアル前の作業で一悶着。個人的にはかなり難儀していますのでメモ程度にまとめます。

何故メモ程度かといえばイマイチ全体が把握できない事と、この問題は4月30日でばっさり切られる可能性が高いからです。詳細に書いても今後利用される事は無いでしょう。ですが、全く無意味でない状況も考えられますので一応まとめておこうかなと。

繰り返しますが状況が把握しきれていません。間違いもあるかと思いますので、何かの折りに参照する場合には他の情報と付き合わせてご覧下さい。もっともこの記事が役に立つ様な状況になっておられない事を祈りますが。

Office Live Small Business

Office Live Small Business
Office Live Small Business

そもそもOffice Live Small Business(以下略称のOLSB)とはなんなのか?最初はまったく分かりませんでした。

現在も把握しきれてませんが、ざっくり言うと「中小企業向けにWEBメールやグループウェアやカレンダーなどの各種ツールやワードやエクセルなどのソフトをWEBブラウザで利用でき、WEBサイトも持てるサービス」のようです。
開始は2008年の3月ぐらいらしく、最低での利用であれば無料とのこと。有料で独自ドメインの使用や利用できるユーザー数の上限が上がるみたいです。

無料でわりと高機能なビジネス用のサービスのようでした。

Office Live Small BusinessとMicrosoft Office 365

このOLSBが2012年4月末日をもって新サービス「Microsoft Office 365(以降はoffice365)」に移行するとの事。この通知を昨年6月あたりから利用ユーザーに通知していたようです。

新サービスは無料ではなく、プランによって変わりますがWEBサイト付きのプランだとPプランというのが最低料金で使えるみたいです。OLSBからの移行ユーザーに関してはしばらく無料で使える期間があるとの事。OLSBとoffice365に関しては下記のURLをご覧いただいた方がよいと思いますのでそちらをどうぞ。

因に、私の理解力がないためにこの辺りを流し読みしてもいまいちサービス内容が分かりませんでした。できる事ごとにサービス名が割り当てられていますがそれがどのプランで使えるのかだとか、現在どれを使っているのかも分かりませんし。

移行関する諸問題

ようやく本題です。
今回の作業の要点としてはOLSBにて取得した独自ドメインをOffice365で使えるようにすること、移行に伴うWEBサイト表示の不具合問題解決でした。

まずはドメインの方から。

英文や英語サイトを見ての作業

ドメインに関するマニュアルは日本語で存在します。が、それを見てもうまくいかないとのこと。
ヘルプなどを徘徊してみましたが…どうやらマニュアルが間違っているらしく。しかも参照先が英語サイトなども見受けられます。

今回の件では、Melbourne ITを利用する(一応推奨されているようでした)際の手順の問題だったようです。

当然Melbourne ITのサイトは英語です。使われる単語も専門用語みたいなもの。ここでの作業を解説した標準のマニュアルが使えないので致命的でした。
なお、調べた範囲では一番まとまっていたのが以下のページにある「米国本社発信の英語ブログの翻訳2月14日付ブログ翻訳」という名前のダウンロードできる書類です。

日本語のヘルプを整える気はないらしくあちらこちらに似た様なマニュアルが散見され、探した挙げ句が英語版ブログの翻訳。この一点だけでもサポートの姿勢が伺えます。

待つ事が必要

今回恐ろしいと感じたのが、ドメインに関する作業(だけではないようですが)を行うとアクセスが非常に不安定になる事です。重要な部分なのに解決方法は時間経過のみ。

具体的に言えば。
ドメイン移管開始後から、会社名で検索した際のURLが404に。2時間ぐらい経過するとOffice365の別の場所らしき所にリダイレクトされた挙げ句真っ白。約8時間後には旧ページが表示。
さらに、管理画面にも入れなくなります。メンテナンスモードなどと表示される事もなく真っ白ページ。

細かく調べてませんし恐らく他の方にも共通の症状ではないとは思いますが、いくらなんでも不安定過ぎるのではないでしょうか。

移行に関するWEBサイトの問題

WEBサイトの移行に関しては、既に新しい場所にデータを移行済みでした。
ですが、ここでまた問題。前述のように表示が不安定でしばらく判断がつかなかったのですが…結論としては酷いものでした。

URLの変更

管理画面のへログイン可能な画面
管理画面のへログイン可能な画面

OLSBからOffice365への移行に伴い、独自ドメインの有無にかかわらずURLが変わります。

具体的には今まで
「http://example.com/default.aspx」
だったのが
「http://www.example.com/Pages/default.aspx」
にかわります。
ここで問題なのは2点。

  • 旧URLにアクセスすると内部の様な画面(右写真)が表示される
  • 旧から新へのリダイレクトはされない

症状としては、検索エンジン経由でアクセスすると意図した画面ではなく内部に近い画面が表示されるということです。しかもそれに対する公式の対応はなし。

内部の様な画面、と書きましたが少々表現に困っています。表示される画面は管理画面のUIと同じでサインインのリンクもあります。ページと書かれたリンクを押せば、ログイン時に表示される編集関係のボタンが表示されてしまいます。が、選択する事はできません。
操作パネルが見えるが操作はできない画面にアクセスされるというのが、まだ正確な表現と言えるでしょう。どちらにせよこの画面、見えていいんですかね?

無料の編集ツールを使えばmetaが弄れるようで、これを利用すればリダイレクトは可能なようですが公式にそんな説明はありません。といいますか、URLが変わるのだからそのぐらい標準で準備されていなければおかしい話です。
なにせ、これを使っているのは中小企業の方なんですから。

率直に言えば、SEO的な配慮もアクセシビリティ的な配慮もファインダビリティ的な配慮も感じません

今回はとりあえずの解決策として、表示されるページの編集方法を見つけて正規のページへのリンクをはりました。作業は下記を参考にしました。下手な事をすると編集すらできなくなうようで…。

ちなみに編集画面では全体のHTMLをみる事ができず、WORDでサイトを作っている様なイメージです。何故だかパスの間違った画像が表示されずに消す事ができなくなったり、32bitモードでななければと使えないとアラートが出たり、Silverlightがないと動かなかったりと盛り沢山でしたが。

なお、時間経過でリダイレクトされるようですがしばらくの間(今回は2日程)はWWWプレフィックス無しだと真っ白画面に飛ばされます。時間経過後はwwwありのアドレスにリダイレクトされますので我慢が大事です。蛇足ですが、Pプランの場合はアドレスからwwwを取る事ができずにこのようなリダイレクトがかかるようです。

最大の問題点

Microsoftのサポートの対応
Microsoftのサポートの対応

OLSBからOffice365への移行に関する最大の問題点。それはサポートの対応です。

マニュアルの不備は前述しましたがサポートの対応が特に酷い。投稿者の名前を見るとちゃんと日本法人の方が回答しているようですが…。ユーザーからの問合せに対して大半の回答が以下の文言に終始します。ちなみにプランによるようですが最低プランは電話サポートは無いそうです。

Office Live Small Business をご利用のお客様における、Office365 への移行に関する情報につきまして、
現在私どもにてお客様へご案内いたします情報を一切持ち合わせておりません。

また、今後におきましても進捗情報の提供をいたすことが困難な状況でございます。
誠に恐れ入りますが、本フォーラムにて情報をお待ちいただいております場合につきましては、
Office Live Small Business 終了までに対応される動作が遅れてしまう可能性が非常に高いと予想されます。

この文言に続いて、有償で移行を行う提携会社へのリンクが書かれる場合もあります。
ドメインの問題に関して解決の手助けをしたのが、海外で同じように困ったユーザーが作成した移行説明動画という方も。

今回フォーラムの中をそれなりに徘徊しましたが、この対応をされてサービス解約や移行を途中で断念して消えるに任せる事にされた方を何人か見ました。
これ、Microsoftが中小企業の方向けに提供しているサービスなんですよね…。

結び

今回はかなり感情的な内容が含まれていますが、実際に手を付けてみて感じた事です。

冒頭に書きましたが、旧サービスであるOffice Live Small Businessが4月で停止になります。状況を見て延命があるのかもしれませんが、基本的には5月に入れば移行も何もありません。
もしも現在移行に詰まっている方でWEBサイトの利用がメインで独自ドメイン運用の場合は、お名前.COMやムームードメインなどへ独自ドメイン移管の上、レンタルサーバーを借りる事をお勧めします。

もちろん、WEBサイトの移管をしたことがない方には難しい作業です。ですがサイトリニューアルを視野にいれて制作会社に依頼し、まとめて作業をしてもらった方が遥かに安全で有益です。今回の移行でこういう状況であるならば、今後も同じ事を繰り返す可能性が高いのですから。今現在の苦労をまた何年後かに繰り返したいのなら別ですが。

今回の記事は体験した事ではありますが、それ故に一般的な話ではなく主観に基づいています。認識や情報の間違いがありましたらご指摘いただければ幸いです。

無料など敷居の低いサービス

今回の様な状況は稀なのかもしれませんが、中小企業の方が無料サービスでWEBサイトを持つ際の重要な問題点が含まれているかと思います。
例えば以下の通り。

  • 無料だからといって手を抜いたサポート
  • 他サービスに移行する際の手順の複雑さ

無料だからと気軽に始めてもみても、最後まで気軽にできる訳ではありません。独自で構築した無料サービスはそれぞれのシステムで動いているため、制作会社に依頼して作成する一般的なサイト構築に比べて制限や障害が多く存在する可能性も高いのではないでしょうか。それを自力で何とかできますか?

無料という言葉に飛びつく前に、お近くのWEB屋に相談されるかより多くの情報収集に時間を費やす事をお勧めします。

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