主に、NII(国立情報学研究所)で検索して見つけた論文を取捨選択して公開しています。
できるだけ本文が読める資料とはおもっていますが、新しい論文であればある程公開はされず、古ければ古い程電子化はされていないのが実情です。
とはいえ本文を公開している論文はそれなりに見つける事もできますし、論文を広めるという点においてもなるべく発掘したい所です。
前提
主にGeNiiで検索した内容を記事にしています。
凡例
以下に凡例を記載します。
- 本文を読める文献は【本文】と記載
- 本文データ無しや会員のみ閲覧可能は【抄録】と記載
- 本文も抄録もなしは【書誌事項のみ】と記載
文献一覧
[Title] 製造業支援ポータルサイトにおけるサイト改善提案と効果測定 : 「いせさきものづくりネット」のアクセス解析をもとに
[Authors] 樽井 勇之
[Bibliographic] 上武大学経営情報学部紀要 38, 1-24, 2013-12
[Readable] 【本文】
群馬県の伊勢崎市が運営する、BtoBサイトについての記事です。アクセス解析(Google Analytics)を用いて解析を行い、そこから得られた情報を検討して改善を行った結果の模様です。
解析に甘い点(アクセス経路など)も感じますが、いたって真面目な内容だと思います。また、訪問数のグラフを掲載していたりと、普段データあまりお目にかかれない行政が運営するBtoBポータルの内情が感じられる点は貴重かと思います。
[Title] Webを用いた企業認知状況の把握と企業PRヘの活用
[Authors] 上野山 勝也/松尾 豊
[Bibliographic] 情報処理学会論文誌 54(11), 2392-2401, 2013-11-15
[Readable] 【抄録】
「これまで,顧客と直接対話することが難しかったため,テレビ局や新聞社を介して顧客との関係性を間接的に築いてきた.一方,WebによるPRでは,企業が顧客からどのように認知されているか知ることができ,PDCAサイクルを回すことにより効果的なPRを行うことが可能になる.本研究は,Web上の企業に関する情報から企業の認知状況を把握する手法を提案する」と抄録に書かれています。
本文は読めませんでしたが、興味深いのでピックアップしました。手法としては「検索エンジンを活用し,同一の業界における複数の企業のWeb上の露出状況を同時に把握し比較することで,注目する企業の認知状況を相対的に理解するという方法を採用」とのことで、アクセス解析などの内部で得られるデータからではなく、あくまで外部からの判断の模様です。これが可能なら、競合分析の精度もあがるかもしれません。
[Title] 自動要約技術の研究動向:これまでとこれから
[Authors] 西川 仁
[Bibliographic] 情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告 2013-NL-213(12), 1, 2013-09-05
[Readable] 【抄録】
「本講演では,以下の 3 部構成で,自動要約技術の研究動向を紹介する.まず,自動要約技術をいくつかの観点から分類し,整理する.次に,これまで提案されてきた自動要約の具体的な手法について概観する.最後に,これまでの研究の成果を踏まえ,今後取り組むべき研究課題について議論する.」と抄録に書かれています。
この抄録の冒頭に「自動要約技術は 1950 年代の先駆的研究以来50年を越える歴史を持ち」とありました。私自身はこういった歴史をしらなかったので、意外と古いのだと驚きました。抄録でも触れられていますが、検索エンジンにも関連することですし重要なテーマでもあるかと思います。
[Title] Web検索時の行動情報を用いたクエリ修正タイプの予測
[Authors] 梅本 和俊/中村 聡史/山本 岳洋/田中 克己
[Bibliographic] 情報処理学会論文誌. データベース 6(3), 132-147, 2013-06-28
[Readable] 【抄録】
「いくつかのサブタスクから構成される検索タスクでは,1つの検索クエリのみですべての情報を得ることは難しく,クエリの修正をともなう検索が反復的に行われることによって,タスクが実行されることが多い.本稿では,こうした検索クエリの修正を,事前に予測する手法を提案する.」と抄録に書かれています。
検索時に一回で求める情報が提示されることは難しく、2回目以降の絞り込みや拡張が重要になります。本文が読めないので想像するしかありませんが、この論文の目的は現状の検索エンジンが行っていることよりも提案的なものかもしれません。検索エンジンはパーソナルな情報を寄せ集めて実現しようとしている模様ですが、この論文では「現在の検索行動を特徴量とする分類器を構成することで,次の検索におけるクエリ修正タイプの予測を行う」と書かれており、別のアプローチなのでしょう。
[Title] マイクロブログ検索のための時間情報と非時間情報を統合したクエリ拡張
[Authors] 宮西 大樹/関 和広/上原 邦昭
[Bibliographic] 情報処理学会論文誌 54(4), 1655-1666, 2013-04-15
[Readable] 【抄録】
「本研究では,順位学習によって時間情報と非時間情報を統合したクエリ拡張をマイクロブログ検索に適用する.」と抄録に書かれています。
マイクロブログ、すなわちTwitterなどではその他と比べてユーザーの意図の現れ方が違うとのことです。少し違うかもしれませんが、Yahooのリアルタイム検索で検索するクエリと、通常のYahoo検索で検索するクエリが同じではないということでしょうか。この論文では、このような時間に影響を受ける情報だけでなく、時間に影響を受けない情報を統合したうえでマイクロブログの検索に適用する模様とのことです。
[Title] マイクロブログの投稿時間に着目したユーザの職業推定に関する研究
[Authors] 田中 成典/中村 健二/加藤 諒/寺口 敏生
[Bibliographic] 情報処理学会論文誌. データベース 6(5), 71-84, 2013-12-27
[Readable] 【抄録】
「本研究では,各単位時間の投稿数に基づきユーザをクラスタリングし,投稿内容,生活習慣と投稿時間帯から職業属性を推定する手法を提案する」と抄録に書かれています。
マイクロブログの利用者の職業は正確にはわかりませんので、時間や投稿内容から推定しようという試みです。抄録では「有用性を確認した」とのこと。中身が見られませんのでどの程度かはわかりませんが、面白い取り組みかと思います。投稿時間は確かに職業に結びつく部分もあるはずですし。
[Title] Webデザインの規範(特集21世紀のデザイン)
[Authors] 村井 睦
[Bibliographic] 湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 17, 1-9, 2013-02
[Readable] 【本文】
調査期間は2011年8月22日から約6ヶ月間だそうで、対象は東証一部上場企業1674社のWebサイトとのこと。調査項目は次の通り。「位置(ナビ、SNSボタン、ロゴなどの)」「サイズ(サイトの横幅や縦幅)」「レイアウト」「色」「キービジュアル」「図版の割合」「情報量」「対象者別メニュー」「グローバルメニュー」「BtoB or BtoC」これらをスクリンショットを撮って、調査したとのことです。
調査数もですが、項目も詳細で興味深い内容です。一部、調査結果を内容から引用します。
- 5.画面サイズについて
縦横1278×855ピクセルが調査対象の平均値となった。Webデザインにおいて一般的と定義されているサイズの近似値となっており、予測通りであった。- 6.文字サイズについて
文字サイズ大は31ピクセル、メニューサイズは12ピクセル、本文のサイズは11ピクセルとなった。前項で述べた通り、文字のサイズをユーザーが変更できる機能を備えたホームページもあったものの、比較的本文が小さいと感じた。- 7.使用されている色について
基調色はblueの#0000ffが最も多く、背景色はwhiteの#ffffffが最も多かった、一般的な視認性や、色彩から受ける印象の定義を考えると、予測通りの結果と言える。
平均が良いということではありませんが、何らかの参考にはなるかもしれません。少なくとも東証一部上場企業という属性は定まってますので。
結び
面白そうな論文は他にあったのですが、中身が読めないものばかりでした。今回は2つしか本文がありませんでした。
しかし、僅かでも論文がWebで読めるというのは助かります。一昔前であれば所蔵図書館を探して複写依頼をだし、郵送でコピーが来るのを待たねばなりませんでしたから。感謝です。
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