パブリックドメインの人物写真のイラスト化に関するメモ

パブリックドメイン写真のイラスト化
パブリックドメイン写真のイラスト化

前からどうもはっきりしなかったことがかなりクリアになるような記事を見つけましたので、自分用のメモとして。

ちょっと理解ができない部分もあったりなのですが、考え方や扱い方の基本が私の認識とは違っていたので、土台の部分で参考になりました。

なお、解説記事ではなくあくまでメモなので、詳細は記事本文にあるリンクから該当のページへ移動し、直接ご覧頂きますようにお願いいたします。

パブリックドメイン

パブリックドメイン(Public Domain)とはなにかを簡単に。といっても、これはこれで個別の状況に左右されることが多そうで理解が難しいのですが。

ものすごく乱暴な言い方をすれば、「著作権がないもの」です。日本では著作権切れ(著作者の死後50年経過など)の著作物が該当するかと思います。

世界的な視点では、米国の法律に基づく「Public Domain Dedication and Certification(PDDC)」などしかなく米国以外ではどうなるのかという点もあやふやでしたが、2010年にクリエイティブ・コモンズが「Public Domain Mark 1.0(PDM)」を策定して整えたもようです。

ただ、著作権は切れても著作人格権は残る(譲渡も消滅も不可の権利という解釈があるため)という解釈の地域もあるため、狭義の意味で考えて著作人格権は生きていると考えた方がよいかもしれません。

パブリックドメインの人物の写真をイラストにすることは法律に触れるのか?

それでは本題に。

パブリックドメインの人物の写真をイラストにすることは法律に触れるのか?

以前からこの点がどうもよくわかりませでした。が、先日下記の記事を発見してある程度クリアになりました。

JustAnswer

以降は、上記ページから該当箇所を引用します。

パブリックドメインの写真全般に対するイラスト化の是非

下記に該当箇所を引用します。まず、パブリックドメインの写真全般に対してイラスト化が可能かどうかという点です。

2)
「パブリックドメイン」は、著作者表示無しで、似たイラストもしくは同一のイラストを制作しても、問題ありません。
ただし、ご自分の作品としての発表の場合、その「イラスト」が質問者様の作品であるにすぎませんから、元の写真の撮影者までが質問者様であるように誤認させる書き方はしないほうがよいと思います。
撮影者には著作者人格権のうち「氏名表示権」(著作権法19条)が認められており、これはパブリックドメインになったとしても放棄できません。従って、「その写真の撮影者は自分だ」と主張することは、ずっと可能なのです。
また、モラルの問題から、他者の作品を自分のものと詐称したと追及されることになると、社会的評価の失墜等、危険があります。
イラストだけならば、元の写真の出所を示すことなく、ご自身の作品として公開することは可能です。

パブリックドメインであれば、写真と「同一のイラスト」でも問題ないそうです。ここで重要なのは、イラストの元となった写真もイラストを描いた人のものだと思わせてはいけないこと。

「見れば分かるだろう」という個人的な認識は問題になりやすいので、「自分以外が見ても誤解を招かない」という視点で考えた方が良いでしょう。この点に関して、以下の用にも書かれていました。

写真のことには触れず、あくまでイラストが自分の作品だ、として公開される分には、まったく問題ありません。

むしろ「写真を元にイラストを描いたと言わない方がいい」ぐらいに見えます….。心情的に「これはいいのか?」と思うのですが、確かに「写真も撮りました」という誤解をあたえることはないでしょう。

私自身は、書かないことに意味を持たせるのは危険なことだという認識ではいるのですが、書くことで余計に問題になるならば頷かざるを得ません。我を通すことで自分以外に問題がおよぶのはまったく望みませんので。

パブリックドメインの人物写真に対するイラスト化の是非

では、人物の場合はどうか?肖像権の問題が気になります。この部分にも触れておられるので、以下に引用します。

3)
肖像権につきましては、その写真がすでに公開されていますので、それほど気にする必要はないかと思われます。
ただし、本人の望まないような、悪し様な描き方をした場合、裁判で問題になったことがあります。
それから、芸能人等、その肖像自体に経済的価値のある人物を描くことは、注意してください。使い方次第で、パブリシティー権の侵害を問われるおそれがあります。
一般人で、その写真をトレースするのではなく、モデルとして別のイラストを描くということならば、大丈夫です。
そもそも、モデルが、どこのどなたか分からないので、本人に確認を取るのが不可能なわけですが、イラストも、どこの誰かなのが分からないようにしておいたほうがいいです。
そのモデルを元にして、架空の人物を描くのでしたら、全く問題ありません。

基本的には有名人でなければ人物写真のイラスト化は問題ないようです。例のごとく、モデルとなる方の品位を損なうなど公序良俗に反するようなことをしなければですが。

モデルの品位を傷つける

芸術家などに多そうに思えて、実は一般の方がやっていることが多そうな「モデルの品位を傷つける」問題があるように思います。

それがネタ画像です。

おもしろかおかしくするために被写体を貶めることが多い印象なのですが、どうでしょうか?おそらく、公表せずに手元においておくためだけなら問題は起きないと思いますが、Webに投稿したりするなら話は別です。

SNSへの投稿を「プライベートな自分だけのもの」と勘違いされている方も多いので、注意してみればアウトなことはかなり多いのではないかと思います。

結び

著作権関連で必ず注意しなければいけないのは、一般化しにくいという点です。

今回引用したサイトで返答されている方は「一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)」という肩書きの方ですが、この方がどういおうとも権利者や撮影されたモデル側が訴えを起こせる可能性はあります。

100人中99人がOKを出す内容だからといって、かならずしも正解ではないのです。

そのため、この記事や引用元の記事もあくまで1つの見解に過ぎませんので、その点を間違わないようにお願いします。ここでOKとかいてもNGになる場合もあるでしょうし、逆にここでNGでも実際にはOKになってしまう場合もあるでしょうから。

使う側からすれば面倒なことに思えますが、撮影された側からすれば必要なことだということも理解できると思います。世の中には提供側がまっ全く意図しない、しかもモデルが強く拒絶するような使い方を平然と楽しんで行う方もいるからです。

外に出ない個人として使う分にはよいのかもしれませんが、Webに公開でもされたら許容できないでしょう。仮にこういったことが頻発すれば、おそらくパブリックドメインやCC0 1.0の人物モデル写真は減少すると思います。

作り手側のモチベーションが下がって衰退する、という状況は他で既に起きていますから、個人個人が留意する必要があります。

12人がこの記事を評価

役に立ったよという方は上の「記事を評価する」ボタンをクリックしてもらえると嬉しいです。

連投防止のためにCookie使用。SNSへの投稿など他サービスとの連動は一切ありません。

コメント欄