デザインに関してあまり偉そうに言えないため、あくまで私見という形になりますが、デザインの善し悪しなどについて少し書きたいと思います。
割とよく見かける事柄があり、それに対する個人的な見解をまとめておこうかと。
繰り返しますが、私見です。デザイン業界一般の常識や見解は把握できていませんので(それはそれで問題ではあるのですが…)、その点ご了承下さい。
「良いデザイン」と「悪いデザイン」
デザインの良し悪しの判断自体一筋縄ではいきませんが、「アートとデザインは違う」などの流れで語られる事柄を参考にしますと、概ね以下のような基準で判断するのだと思います。
- 求める機能を果たしているか否か
実のところ「求める機能」という部分は何でもかまわないと思いますが、仕事としてのデザインならば、「依頼で求められた要望を満たしているかどうか」になるのでしょう。
- 要望を満たせば「良いデザイン」
- 要望を満たせなければ「悪いデザイン」
上記のように表面的な言葉だけだと案外明確に定義できそうです。
各案件ごとの具体的な部分まで踏み込むと、一気に大変になりそうですが。
「プロっぽいデザイン」と「素人っぽいデザイン」
「プロっぽいデザイン」と「素人っぽいデザイン」の定義は、表面的な言葉からしてすでに厄介そうです。
「ぽい」という言葉が多くを物語っていますが、鑑賞者(閲覧者/ユーザー/依頼者/制作者/etc)それぞれの主観に依存する部分が大きいためです。
「プロのデザイン」や「素人のデザイン」であれば、単純に制作者の職業やスキルやレベルに属する分け方になるでしょう。
しかし、「ぽい」だとそれも通じません。
繰り返しになりますが、結局のところ主観的な感覚による評価でしかなく、鑑賞者次第でどうとでも変わってしまいます。
場合によっては人物にさえ依存せず、時間経過でも変化してしまいます。
例えば、同じものを「1年前」「現在」「1年後」の3つの時点で見たと仮定した際に、まったく同じ評価を下す自信はあるでしょうか?
おそらくないはずで、その程度の確かさでしかないのでしょう。
「ぽい」と感じること自体に良し悪しはないのですが、「ぽい」を評価の主軸に据えることの不安定さやあやふやさは頭に置いておいた方がよいかなと思います。
「良いデザイン」と「悪いデザイン」と「プロっぽいデザイン」と「素人っぽいデザイン」
前置きが長くなりましたが本題です。
- 「良いデザイン」
- 「悪いデザイン」
- 「プロっぽいデザイン」
- 「素人っぽいデザイン」
上記のそれぞれの相互の関係を考えた場合、以下のような組み合わせが成り立つはずです。
- 「良いデザイン」=「プロっぽいデザイン」
- 「良いデザイン」=「素人っぽいデザイン」
- 「悪いデザイン」=「プロっぽいデザイン」
- 「悪いデザイン」=「素人っぽいデザイン」
「良いデザイン」と「悪いデザイン」の判断を、冒頭のように「求める機能を果たしているか否か」という点で行う場合、「プロっぽいデザイン」も「素人っぽいデザイン」のどちらも「良いデザイン」である可能性があります。
同様にどちらも「悪いデザイン」である可能性もあります。
つまり、「素人っぽいデザイン」だからといって常に悪いわけではない、どころか、素人っぽさ自体が問題にはなりません。
素人っぽかろうがプロっぽかろうが関係なく、必要とされているものを満たしているかどうか重要な判断基準なのですから。
デザインが不要という話ではない
前項を踏まえると、「素人っぽいデザインが効果的なので、デザインを重視する必要はない」とはなりません。
単純に「素人っぽいデザインで達成される事柄が重要であるなら、素人っぽいデザインとなるように作る必要がある」というだけの話です。
これはなにも特殊な事例のように考えることではなく、「カッコイイデザイン」「キレイなデザイン」という要望と何ら違いがありません。
デザイナーは素人っぽさを出せという指示を嫌うのか
この辺りは今までより更に私見になりますが。
デザイナーが「素人っぽいデザイン」を作れ、という指示をうけた場合に嫌がるのかと言えば、嫌がらないと思います。
依頼を受けて作っている時点で、指示があれば好きも嫌いもありませんから。
前述のように「素人っぽいデザイン」が「良いデザイン」という可能性を理解している以上、「良いデザイン」を作るために必要なことだと考えるだけです。
チープだろうがドギツかろうがスカスカだろうがゴチャゴチャだろうが、何も変りません。
結び
この記事を読まれた方の中には、「デザインは必要だ」と言いたいがためだけのこじつけ記事に見えるかもしれません。
書いた本人としては、それはそれで構わないと思います。
ちょっと実態とそぐわない部分があるのですが、一応Webデザイナーと名乗っている以上、私の立ち位置としては何よりもデザインが大事で、デザインが第一だからです。
しかしながら、「他の要素がなくてもよい」とか「重要でない」などとは決して考えていません。
Webサイトであれば、ディレクタやプログラマやコーダーやライターやカメラマンやSEO技術者や営業や事務やそのほか諸々の方もすべて大切で重要です。
重要だと思うのは、各々が「自らの最重要と考える事柄」と「それ以外の事柄」の差が、一歩どころか半歩や数ミリ、あるいはもっと小さな差であるだろうという点です。
そんな小さな差しかないならば、Webデザイナーと名乗っているからデザインが最重要だと考えるように、他の職種の方それぞれが自らの職種や業務が最重要だという考えでもよいはずです。
少々話がズレてきましたが、デザインに限らず判断や評価は侮れるほど簡単なものでもないので、なるべく視野が狭くならないようにしたいと思います。
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