※この記事は2017.10.7にBloggerに投稿していた内容を移動したものです
HTTPからHTTPSにした際に、一部で検索順位が下落する現象が見られます。
私はSEO専門家ではないため素人の浅知恵になりますが、調べたことや考えている事をメモ的にまとめつつ、その結果として得た個人的答えを書いてみたいと思います。
記事内容が正しい場合、ヘルプを読み込んでいる方には目新しい話ではありません。
記事内容が間違っている場合、この記事は単なる与太話です。
どちらにせよ、鵜呑みにされないほうが良いかと思います。
資料
調査過程で得た情報元のまとめや補足など。
HTTPS でサイトを保護する
Googleのサポートページ情報。
サーバー側の 301 HTTP リダイレクトを使って HTTPS ページまたはリソースにユーザーと検索エンジンをリダイレクトします。
301リダイレクトが基本で、検索エンジン(=クローラー)も301でリダイレクトさせている必要がある。
HTTPS ページを Google がクロール、インデックス登録できるかどうか確認する
- robots.txt ファイルで HTTPS ページをブロックしないでください。
- HTTPS ページに noindex メタタグを含めないでください。
- Googlebot がサイト内のページにアクセスできるかどうかテストするには、Fetch as Google を使用します。
HTTPSページに、ユーザーやクローラーがアクセスできないような指定は追加しない。
HTTPS サイトで HSTS をサポートするようおすすめします。HSTS は、自動的に HTTPS ページをリクエストするようにブラウザに指示する仕組みで、ユーザーがブラウザのアドレスバーに http を入力した場合でも HTTPS が使用されます。検索結果に安全な URL を提供するように Google も指示されます。これらはすべて、保護されていないコンテンツをユーザーに提供するリスクを最小限に抑えるものです。
HSTS を使用すると、ロールバックの手法が複雑になります。HSTS を次のように有効にすることをおすすめします。
- まず、HSTS をサポートせずに HTTPS ページを公開します。
- 短い max-age を指定した HSTS ヘッダーの送信を開始します。ユーザーからのトラフィックと他のクライアントからのトラフィックの両方を観察します。また、依存関係にある広告などの掲載結果も確認します。
- HSTS の max-age を徐々に増やします。
- HSTS がユーザーや検索エンジンに悪影響を与えない場合は、必要に応じて、Chrome HSTS プリロード リストにサイトの追加を依頼してかまいません。
HSTSを設定すればサーバー側に設定した301リダイレクトなどの仕組みを使う必要がなく、クライアント側のみでHTTPSへの誘導が可能となる。
利用できないレガシーなブラウザもあり、その場合はHSTSは当然動作せず301リダイレクトを利用することになる。
HSTS はセキュリティを向上させますが、ロールバックの手法が複雑になります。
上記のロールバックが何を意味したどういうものなのかは理解できておらず不明。
HSTSを利用することでトラブルになる事例もでている。
常時SSLに関して)僕がXSERVERからmixhostに移設した際には、HSTSではまったんだったな~。要するにmixhost側がまだSSLの準備が出来ていないのに、ブラウザにHSTSの設定が残ってしまっているので、SSL接続が強制させられてしまうという・・・。 https://t.co/V6wX6EE0zL
— 平山 英史(Eiji Hirayama) (@biz4e_hirayama) 2017年9月22日
移設元でしっかりStrict-Transport-Securityを0にセットして、HSTSを無効化しておかないと詰む。・・・と。 https://t.co/xsrQGGA6oS
— 平山 英史(Eiji Hirayama) (@biz4e_hirayama) 2017年9月22日
HTST設定で多くの環境で307になので307が悪くは無いですが、HTST設定はしつつリダイレクト設定を忘れたケースで最新ブラウザから開くと307になってユーザはリダイレクトされるものの、検索エンジンからは200に見えて移転認識されない罠にハマる人がいますので、それかもですね。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年9月18日
以下のようなツイートもある。
残念。存在しますね。モダンブラウザはスキーマ省略時にまずhttpsを試すようになってるので、 httpsに「応答しない」サイトが必要なのです https://t.co/U4SKdOykRd
— Ohkubo KOHEI (@kuboon) 2017年9月25日
HTTPSの仕組みを強化する技術として優れているが、設定時も運用中もHSTSを正しく扱わないと問題が発生する可能性が高く、気軽に実行する代物とは言い難い印象。
概要: URL の変更を伴うサイト移転
Googleのサポートページ情報。
新しい URL にリダイレクトすると、リンクのクレジットは失われますか?
いいえ。301 や 302 のリダイレクトは PageRank の損失につながりません。
301でのPageRank損失は明確に否定されている。
この点が真実なら、後述するランキング変動はPageRankの変化が原因ではないと結論せざるを得ない。
なお、ページ内の「HTTP から HTTPS への移行に関するよくある質問」の項目に以下のような重要な情報が多い。
この移行はランキングに影響を与えますか?
移行する場合の常として、移行中にランキングの変動が起きる可能性があります。ただし、HTTPS に固有の問題を避けるには、HTTPS ページに関するおすすめの方法を確認してください。
移行中にランキングの変動が起きる可能性があることを明示。
ここがHTTPS化した際にランキングが変動する理由である。はず。
HTTPS サイトになるとランキングが少し上昇しますが、顕著な変化は期待しないでください。Google は HTTPS をポジティブなランキング要素として使用します。数多くの要素のうち、この要素は現時点では、高品質のサイト コンテンツよりウェイトは小さくなります。短期的には、HTTPS へ移行しても大きな SEO 上のメリットは期待できません。長期的には、HTTPS サイトであるということの影響が強まる可能性もあります。
HTTPSにするとランキングが少し上昇すると明示されている。ただし、影響は小さく短期的にはメリットは期待できないとも明記。
Drop in rank after implementing Https.
Webmaster Word.comの情報。2017.9のスレッド。
I have read stories of some people switching back to http to get their traffic back after losing 40% of their traffic after 2 months of waiting for their rankings to return.
HTTPSにして2ヶ月で40%のトラフィックを失い、HTTPに戻したという上記の話を引き合いにだしつつ、ランキングダウンについてのやり取りが記載されている。
この40%ダウン云々の情報元の記述はないようで真偽不明。
基本的には「プロトコル変更によるランキングダウンはない」という論調で、ランキングダウンは別の理由からという結論か。
同サイトには上記のようなスレッドも存在するが、これを含め英語圏の情報を軽く調べたところランキングダウンよりもトラフィックの減少という視点からの話が多いように感じた。
そのため、下記の引用のようにXPユーザーがIE6を使っている場合、HTTPSサイトにアクセスできない(IE6が証明書に対応していない場合があるため)のでトラフィックが減るのではという仮説もあった。
My current theory is that Windows XP users are the issue. While many will say Windows XP users only account for a tiny percentage, it is my experience that older users using legacy operating systems convert really well and click on ads – I would take 1 XP user for 10 mobile users.
So it could be that preventing those users from accessing your website is causing a disproportionate loss of earnings.
なお、トラフィックの減少自体はGoogleのフォーラムでも相談がされている事例がある。
GoogleのHTTPSアルゴリズムはURLの最初の5文字を見ている
GoogleはHTTPSか否かの判断をURLの最初の文字で判断しているだけ。
このアルゴリズムは、完全に安全な通信ができているかどうかや証明書の有効性を厳密には考慮せず、HTTPSで通信できていさえすれば基本的には優遇を受けられるとのことです。
また、タイトルにあるように混在コンテンツ(Mixed Content)の存在も、現時点では無関係である可能性が非常に高い。
まとめ
重要なポイントは以下の事柄だと考えられます。
- HTTPSに変更することで何が変り、順位にどのような影響があるのか?
つまり、HTTPSへの変更を多面的に捉える必要があり、以下のようになると思います。
変更対象 | 概要 | 順位影響 |
---|---|---|
プロトコル | 非暗号通信のHTTPから、SSLによる暗号化通信のHTTPSへの通信ルール変更 | なし |
URL先頭文字列 | GoogleがHTTPSサイトとして認識する | あり(上昇) |
URL | http://とhttps://は同一のURLとは見なされず、別のURLへの変更と同義 | あり(上昇/下降) |
結局、HTTPSにするとランキングが変動するのか
既に触れていますが「概要: URL の変更を伴うサイト移転」のページにある以下の記述が明快な答えになると思います。
移行する場合の常として、移行中にランキングの変動が起きる可能性があります。ただし、HTTPS に固有の問題を避けるには、HTTPS ページに関するおすすめの方法を確認してください。
前項の表も踏まえると、以下のように言えます。
- HTTPS切替時にリダイレクトやcanonicalやHSTSなどの設定ミスがなくても、ランキングが変動する可能性がある
変動は一時的か持続的か
変動は起こりうるものとして、ではその影響は一時的なのか持続的なのかが問題となります。
いろいろな要因が重なるでしょうから一概にいえるものではないのですが、HTTPSへの変更作業ミスがないという前提であれば、以下のように場合分けできるのではと考えています。
原因 | 変動期間 |
---|---|
HTTPSへの変更 | 一時的(概ね一週間以内?) |
URLの変更 | 持続的 |
変動の期間が長引く場合は、「HTTPSへの変更」ではなく「URL変更」の影響を疑った方がよいかもしれません。
結び
長々と書いていますが、ランキング変動を0にするための対応策はなにもなさそうです…。
また、「HTTP→HTTPSによる持続的なランキングダウンは作業ミス以外あり得ない」ように見えるかもしれませんが、例えば301によるURL変更でランキングが戻らない事例などがある場合、HTTPS化を切っ掛けにした別の要因からランキングが落ちて戻らない可能性も十分にあり得ます。
もはや微妙な優遇よりも、下落リスク0にしてくれる方がまだ良いのではという心境です。
追記1
「ランキングは変動する可能性があります」と書いているように、必ず変動するわけではないと思われます。
それ故に全く変動しない(少なくとも観測していた本人が気付く範囲では)という経験談は間違いではありませんし、大きく下落したという経験談も間違いではありません。
加えて、仮に「全く変動しない」という方の手順を真似ても、変動の可能性を0にできないとも言えます。
追記2
この記事でも書いている「HTTPSへの変更作業ミス」という言葉が指している「作業」ですが、極論すれば以下ができていれば最低限OKなのではと思います。
- https://でユーザーもクローラーもアクセスできる
- httpsサイトに301リダイレクトしている
- httpsサイト内にcanonicalがある場合は、記載されたURLがhttp://ではなくhttps://になっている
おそらく上記だけでGoogleはHTTPS移行できていると判断するのでは。
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