関西SEOサミットは去る2010年7月6日と7日に開催されたSEOのセミナーです。一日の開催時間はなんと7時間。当時私はSEOの知識に乏しく、またSEO業界の方々の関する情報も持ち合わせていませんでした。
後から伺うと現在のお知り合いの中にはこのセミナーに参加されていた方が何人かいらっしゃいまして、今から振り返ればあまりにも消極的だったなぁと反省したりする事も。
当時の情報ですので、現在の状況とは違う部分はあります。が、根本的な部分においては現在と何ら変わるものでは無いと考えています。
旧ブログでもSEOの記事をいくつか書いていますが、もしもその内容が検討はずれでないと感じていただけているのであれば。それはこの「関西SEOサミット2DAYS」あればこそです。
ちょっと持ち上げすぎた感もありますが、まぁ個人的な思い入れがあるということで。
なお、当時のメモを参考に現在の視点から振り返った内容です。何分2年前なので私の記憶もあやふやな部分もあり、メモから再構成した内容となってしまいました。
今回は紺野さんの講演分のみです。
関西SEOサミットとは
2012年4月現在、関西SEOサミット2010のページは存在しません。ので、公式ページから概要を参照することができません。当時の資料はメモ書きと旧ブログ記事のため、そもそもの発端も分からずじまい…。
そこで、当時の関西SEOサミットの講師をされた住太陽さんのサイトの当時の記事より該当部分を引用させていたいただきます。
※関西SEOサミット2DAYS と CSS Nite LP10 のお知らせより
開催主旨:業界内の様々な方が「SEOもやります」と発言しますが言っている主旨がずれていたり、そのポリシーもバラバラだったりします。また、SEOに関してはブラックボックスも多く、何を信じて、何が眉唾ものなのかも解らないといういう声も、数多く聞かれます。そこで、本セミナーでは、業界内外で、どの様な解決策やポリシーが、どの様なクライアントニーズにマッチしているのか?など、SEOのエキスパートなどに集まって頂き、2010年のSEOの動向を浮き彫りにしたいと考えています。
この当時は情報が今程なく、怪しげな情報が多かった印象があります。ですがその真贋を確かめる力もなれば指針もあやふやでした。こういった不安を抱えていた方には最適なコンセプトだったと思います。
講師陣は以下の方々。(講演順)
- 株式会社アイレップ代表取締役社長COO:紺野俊介氏
- 有限会社AbiStudio.com代表取締役:阿比留康光氏
- 株式会社WEBライダー代表:松尾茂起氏
- ボーディー有限会社代表取締役:住太陽氏
- 株式会社マイネット・ジャパン マーケティング部SEOプロジェクトリーダー:山本誠氏
- 株式会社E-arth:藤田篤志氏
- 日本ウェブ協会:森川眞行氏
- ボーディー有限会社代表取締役:住太陽氏&森川眞行氏
お名前をご存知の方も多いかと思いますが、豪華な顔ぶれですね。
…なんだか前置きが長くなりすぎましたので早速本題へ。
当時の検索エンジン現状
このセミナー少し前、Yahoo!がYSTの開発を中止してBingを導入するという情報がありました。もっとも、確定的な情報があった訳ではなく米国とカナダの事例を参考にしてという流れだったかと思いますが。
セミナーの内容的にもBingをどうするかという視点が入っています。この点、現状との違いを念頭に入れていただきたいと思います。
なお、Yahoo!とBingに関する当時の感覚が分かりやすい情報として、海外情報SEOブログの鈴木さんの記事をご覧下さい。
紺野俊介氏の講演
講演を伺って最も感じた事は、SEOの必要性を常に考えて仕事をされているのだという点です。SEOを技術的な側面のみで捉えるテクニカル重視の方ではなく、事業全体からの位置付けを俯瞰した上でのSEOといった感じです。
当時のメモを元に講演の内容をいくつかに分けます。といっても相互に関連はしているのですが。
コンテンツの資産化
紺野さんのお話の大前提は、リンク云々の前に資産となるコンテンツが必要という点です。
ユーザーの役に立たないコンテンツではリンクを貼ってもうことなど決して叶いません。
リンクがあってコンテンツではなく、コンテンツがあってリンクがある。文章にすると当たり前の話なのですが、これがSEO(特にテクニカルな面)での話となると認識が変わる方は大勢いるのではないでしょうか?
「欲しいリンクがあってコンテンツを作る」という視点に違和感を感じない方は多いのでは?
とはいえリンクを集める目的で作られたコンテンツが結果としてユーザの役に立つことはよくあります。この場合コンテンツを資産として作れているはずです。ここで問題なのはリンク目的で作られた資産にならないコンテンツなのです。
なお、紺野さんはコンテンツを資産とするためにはルールやガイドラインを定める必要があるといっておられました。場当たり的な作り方ではなくしっかりとした形に作り上げなければならないということですね。
当時の講演を聞き取りしたメモ書きを見て、今現在の視点から重要だと感じた部分をピックアップします。
SEOとはコンテンツを作る事ではない。それは狭義の意味でしかなく、本質は人を呼び込むためのインフラを整備する事。
これが全てと言えるかもしれません。
自然リンクの重要性
講演では自然リンクの重要性を強調しておられました。
理由はシンプルで、リンクの安定性故です。
作為的なリンク(ペイドリンク:お金を払ってリンクを貼ってもらう有料リンク)はGoogleの望む所ではなく、常に排除を試みらている類いのリンクです。それ故に、現状での効果は高くとも今後は分からないという不安定さが特徴です。
反対に自然リンクの評価を0にしたりペナルティーとすることはまずありません。ランキング決定の指標は常に変化しますから重要性と言う点では今後も同じ割合であるとは言い難いですが、WEB上で行われる行為として日常的な行為ですからマイナス要因にはならないでしょう。
事業の継続性を考えると長期的な安定は重要な要素ですし、自然リンクとペイドリンクのどちらが重要かは一目瞭然です。
SEOの原理原則1
SEOの原理原則として「ユーザビリティ(人)=SEO(検索エンジン)」という図式を挙げられていました。SEOはユーザビリティと同義という事ですね。
SEOを「ランキング上位に表示させるための技術」という狭義の視点で捉えません。SEOを「ユーザーがコンテンツへの接触しやすくするための技術」という視点で捉えます。結果として現れてくるのが、SEOを行う事はユーザーの利便性を高めてユーザビリティに寄与する状況です。
この視点に立てば、Googleから見ればSEO自体はなんら問題なくむしろ強化して欲しい部分でしょう。検索サービスのユーザビリティを高める行為なのですから。
検索サービスは基本的に検索対象を自ら生成しないため、検索サービス自体な資産となるコンテンツをもっていません。であれば、コンテンツを最適に表示できる土台を整えるためのSEOはユーザビリティの向上と直結しますし、歓迎しこそすれ排除をするはずもありません。
SEOの原理原則2
講演では、以下の用語をSEOの原理の段で仰っていました。
- インデクシング:登録されているかどうか
- ファインダビリティ:探しやすいかどうか
- レリバレンシー:要求に合致した情報かどうか
また、リンクの獲得に関しては以下の点を。
- 自然に増える
- 人の信頼と評判の構築
- リダイレクトは適切に
続いて、リンクの価値判断のための要素。
- ランキング
- 直接訪問数
- 将来リンク獲得
リンクの価値判断とは、被リンクの価値を測るという意味です。テクニカルな視点に目を向ければ流れてくるリンクジュースの量などが重要になりそうですが、ここでは「直接訪問数」や「将来リンク獲得」が挙げられています。
リンクをランキング操作のためのものと捉えるのではなく、訪問を得てそここからさらに新たなリンクを獲得できものと捉える訳です。
これらの点からも自然リンクの重要性がうかがわれます。
ペイドリンクにここまでで挙げた要素を満たす物があるなら別ですが、大抵は無いからです。もちろん自然リンクでも全てを満たすものは多く無いでしょう。ですが、長期間にわたる安定性は将来的に上記の要素を獲得する可能性を保証してくれるはずです。
リンクとアーキテクチャの関係
講演の中ではリンクとアーキテクチャ、いわゆる内部構造との関係について触れておられました。
いくつか数値を出されていましたので下記に記載します。
キーワード | リンク | アーキテクチャ |
---|---|---|
高 | 75% | 25% |
中 | 50% | 50% |
低 | 30% | 70% |
いわゆるビッグキーワードの場合はリンクの重要性が高く、スモールの場合はアーキテクチャの重要性が高くなるという傾向だそうです。
恐らく、現在でもこういった傾向を感じるのではないでしょうか?パシフィカスさんのブログで名前が普及した感のあるロングテールSEOという視点からも、上記の数値が感覚的に同意できる値ではないでしょうか?
ただ、この当時のメモを見る限りでは「アーキテクチャ」はコンテンツの内容ではなく、例えばHTMLのような構造を主眼においておられたかもしれません。
ちなみにロングテールSEOは、SEO的にキーワードを散りばめたコンテンツが有効だという訳ではありません。その視点は浅すぎます。内容に密度がある故に自然と形成されるキーワード群がロングテールSEOの肝だと考えられるからです。
作為的にキーワードを配置するなという事ではありません。資産となる程の密度を持つコンテンツが大前提であるというだけです。こういった前提を満たしていれば、スモールワードでのSEOに有効なコンテンツが出来上がるはずです。
前段の「ユーザビリティ(人)=SEO(検索エンジン)」で触れたように、ユーザーが必要な情報を見つけやすくするために関連するキーワードを意図的に使うのであれば。それは意味あるSEOとなります。
現在の視点でのロングテールのSEOを理解したい方は下記のリンクより前出のパシフィカスさんの記事をご覧下さい。キーワードを詰め込んでテールを引っ掛けることと同義出ない事がお分かりいただけるはずです。下記の記事の他にも同ブログ内に関連情報が盛り沢山ですから、サイト内検索でお探しください。
なお、上記の様な種類の情報以外で有益なものも多くあります。しかしそれらを読む前にしっかりとした基本的姿勢を見ておいた方が良いと思います。土台なしでは前述の「SEOとはコンテンツを作る事ではない」の真逆を行く事になりかねません。
講演のまとめ
紺野さんの講演のまとめとして当時メモを書いた内容をそのまま掲載します。現在でも書き換える必要性は感じませんので。
- ターゲットユーザーの検索高度の理解
- 業界(キーワード)により最適化戦略が変わる
- 最適化のための社内リソースを用意する
- 自然リンク獲得のための施策を行う
- 順位/誘導数/CVの組合せで評価する
上記の項目を見てこの記事の中には無い事柄が含まれている事にお気づきでしょう。
この部分、メモ書きがあやふやだったり今読んで理解できなかったりする部分でして、書けませんので悪しからず。
自然リンクとペイドリンクの関係性のまとめ
強調したいので、当時のメモから自然リンクとペイドリンクの関係性の部分だけ抜きだします。
ペイドリンクはリンクの価値が上がらない。自然リンクは上がる。
ペイドリンクは変動しやすい。特定の状況化で評価されるように調整しているリンクだから。
現状の効果を無視して良いわけではありませんが事業は継続するべきものという視点に立てば、依頼する側もされる側も認識し共有するべき事柄ではないでしょうか?
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