【2010年開催】関西SEOサミット初日(松尾茂起氏の講演)[増補改訂版]

関西SEOサミット2010を振り返って
関西SEOサミット2010を振り返って

この記事で3回目になりますが、2010年に開催されたSEOセミナー「関西SEOサミット」を振り返ります。
今回は3番目に登壇された松尾茂起さん。

松尾さんはSEO業界では有名な方だそうで(私は業界人ではないので伝聞の形にしています)、私が把握している限りでは俗にいうホワイトハットで非常に優れた技術と経験をお持ちのはずです。

講演当時ははずかしながら松尾さんがどういう方なのか全く知りませんでした。
講演時に「恋のSEO」というミュージックビデオが流れ面食らったおぼえがあります。まさかSEOのセミナーでこういうものが流れるとは。しかも、聞けばWEBライダー(松尾さんの会社)で作成との事。
この辺りでは「この方はなに屋さんなのだろう」とぼんやりとした疑問を浮かんでいました。

もっとも、講演が進むにつれ認識は様変わりする訳ですが。

ご留意点

関西SEOサミットの記事に共通する下記のご留意点があります。

  • この記事の関西SEOサミットは2010年に開催
  • 当時を振り返った内容
  • メモから再構成した内容

記事の対象となる講演内容は今現在の状況にそぐわない可能性があるという事です。

松尾茂起氏の講演

最初に松尾さんについて少々。といっても私の把握している情報は非常にすくないのですが。

SEOについて色々なご経験をされているらしく、それらの経験を踏まえた上でダーティーなスパムSEOよりもホワイトハットSEOを目指すべきとの結論に達したと伺った覚えがあります。このあたり、講演の時なのかその後SEOに関する情報を仕入れている時なのかは定かではありませんが…。

WEBライダーという会社をされており、前述の「恋のSEO」など活動は多岐といいますか色々な方面にわたっている印象です。SEO業界内の評価は高いようで、独自の考えや方法論によって業務を行っておられます。
が、松尾さんをSEOの観点からのみとらえるべきではありません。WEBライダーさんは制作会社ですし、基本的にコンテンツに関わるお仕事に思えます。SEOはコンテンツを作成する事で達成されるのではないでしょうか。

たぶんに予想や思い込みがはいっていますが、私の把握しているのはこんなところです。
ご自分の目で確かめられた方が良いとおもいますので、WEBライダーさんのサイトにいかれることをお勧めします。

バイラルコンテンツというリンクの獲得方法

リンクの獲得方法
リンクの獲得方法

SEOにおいて被リンクは非常に重要です。ブラックハットとホワイトハットの違いは被リンクの獲得方法であり、松尾さんの講演内容は間違いなくホワイトハットの手法です。

講演では被リンクの獲得方法として以下の方法を挙げられました。

  • 自社でリンクを構築
  • SEO業者からリンクを購入
  • コンテンツの力で自然にリンクを集める

この中でも「コンテンツの力で自然にリンクを集める」方法が最も効果が大きく効率もよいとのことでした。
こうした力あるコンテンツを「バイラル(ウイルス)コンテンツ」といいます。ウイルスが広がるようにクチコミが増殖するという意味ですね。

WEB上であればクチコミはリンクを発生させることと近い意味になります。リンクの形としては、SNSが盛んになった現在ではブログのようなリンクの仕方ではなく、アンカーテキスト無しのリンクやリンク付近にサイト名もないリンクが増えると思います。
これらをSEO視点でのリンク評価として考える場合、アンカーの重要性も少々意味が変わるかもしれませんね。

さて、実際の所「コンテンツの力で自然にリンクを集める」というのは簡単ではありません。セオリーらしき物は世間に色々転がっていますが、それらをそのまま使ってもまず成功しないでしょう。
成功させるには案件ごとに綿密な作り込みが必要だからです。

反面、この複雑さや再現性の低さ故に他サイトに負けないSEO的な強さが得られるのでしょう。

講演時の話とは関係ありませんが、制作会社であるならばこの選択肢しかありないと考えています。
SEOとして有効なレベルの自社サイト群は構築できないでしょうし、他者からリンクを買う事も本業にそぐいません。特にGoogleがペイドリンクなどの被リンク取り締まりに本腰を入れている以上、SEOの専門家ですら無い業種が手を出せる状況ではないはずです。

検索エンジンの動向

検索エンジンのアルゴリズムについて
検索エンジンのアルゴリズムについて

検索エンジンは常に変化しています。アルゴリズムはもちろん、そのアルゴリズムを構築する姿勢も変わります。

講演ではまず検索エンジンのアルゴリズムを二つに分けておられました。なお、この講演の時点ではYahoo!はGooleと同一でない点をお忘れなく。

  • 独自のアルゴリズム
  • 共通のアルゴリズム

「独自アルゴリズム」とは検索エンジンごとのアルゴリズムの違いです。根本的な点についてであり、例えば評価する対象が検索エンジン毎に違いがある様なイメージでしょうか。
講演では「共通アルゴリズム」をさらに詳細に話されていました。

  • コンテンツの中身が重要(キーワードマッチ等)
  • 被リンクの「質」と「数」が重要
  • ドメインの信頼度が重要

特にドメインの信頼度についてのお話が主眼であり、トラストランク(信頼度)が高いサイト程キーワードが無くても表示され結果的にアクセス増加が見込めるそうです。
トラストランクの高いサイトの傾向として、リンクをうけるサイト内部ページにリンクが貼られている点を挙げておられました。現在では、SEO業者の方の販売するリンクもリンク先(クライアントのサイト)はTOPページだけではなくなっているはずです。
むしろTOPにしか貼りませんという会社さんはスキルを疑った方が良いでしょう。または何かしらの秘策でもあるのかも…?

ドメインの信頼度の上昇はクロール速度にも関係するようですし、いい事尽くめです。それ故にどうやってドメインの信頼度を上げるかは重要な問題です。
仮にブラックハットな手法でクライアントサイトのトラストランクを上げた場合、クライアントサイトを評価する根幹的な部分が非常に危険な状態といえます。なにせ、近い将来評価を取り消されかねないのですから。

なお、はてブ(はてなブックマーク)が重要だとも言っておられました。ホッテントリに入った際の効果は絶大だそうで。現状での効果は分かりませんが、少なくともマイナス効果にはならないのですから狙えるなら狙うべきでしょう。

人気がでやすいコンテンツとは

はてブがつきやすい記事
はてブがつきやすい記事

前段のはてブの利用を前提として。
講演では、はてブで人気がでる記事の種類として以下の2つを例示されました。

  • まとめ記事
  • 箇条書きの記事

続いて、ユーザーの視点から見て以下の2点。

  • 保存主義(タイトルだけで判断して後で読む)
  • 時間短縮主義(個別に見ると時間がかかるのでまとめられてると便利)

この辺りのはてブの利用に関しては現在では様々なHow to記事が色々なブログで書かれています。具体的な手法や効果などはそちらをご覧いただいたほうが良いでしょう。
いずれにせよ重要なのは以下の事です。

紹介してくれる人の事を考える

最近はあまりはてブの話を聞かない気がしますし、有名ブログさんでもはてブのボタンを外している所もあります。当ブログは記事下に利便性を考えて付けていますが、旧ブログのようにタイトル下にブックマーク数を表示する事は止めました。もとっとも、話題になった事が無いので表示する数がないとう理由もありますが。

講演で伺った内容は「ブックマークとして利用」を前提とされていますが、個人的にははてブは人により使い方が違うと感じています。コメント蘭の代わりとしてはてブを利用する方を意識した方が意図的に数を伸ばせるのではと思います。
もっとも、一昔前に言われていた炎上マーケティングだとか批判的なコメントを集める方法になりそうですし、クライアントサイトに対してしかけられる方法ではないでしょう。

なお、はてブ以外にもCGM(Consumer Generated Media)のような自動的にページが増えてリンクが貼られていく仕組みも有効とのことです。
現在では質の悪い記事と判断された場合のリスクもかなりありそうで、最近のGoogleの傾向を考えると良質なコンテンツが生産される仕組みを以前よりも整える必要がありそうです。

コンテンツをPRするコツ

PRの経路についても講演で触れられていました。まとめると以下のような感じです。

メディア 実例
自分メディア 自分のTwitterやブログ
他人のメディア 他人のTwitterやブログ
有料のメディア プレスリリース

有料のプレスリリースを出す場合は、動機として以下の点を考慮した方が良いようです。

  • 初期の露出を高めたい時
  • クチコミに限界を感じた時

基本的には自分メディアを活用して他人メディアと関係を構築するというながれでしょうか。講演では「自分から交流する」ことが重要であり、以下の手法を例示されておられました。

  • 自分のサイトやブログやTwitterでその人のコンテンツを紹介する
  • その人のブログのコメント欄に書き込んでみる
  • Twitterの@メンションで話しかけてみる
  • Twitterでその人がフォローしている他の人に話しかけてみる

なお、Twitterの項目に関しては嫌がられることもあるのであまり良くは無いそうです。

こういった内容を書くと呼んだ方は「全部計算ずくか」と思われるかもしれません。実際にこういった手法を使われている方がどういう意識でおられるのかは聞いてみないとわかりませんが、個人的には計算ずくでない場合もあると考えています。

たとえば、私個人についていえばTwitterで私の記事を紹介していただいた方にお礼をお伝えしています。この場合大抵「お読みいただきありがとうございます」という言葉を書いていますが、まさにそれが全てです。
このブログや旧ブログはかなりの弱小ブログでして、バイラルな現象にはとんと縁もなく静かなものです。そんなブログを読んでいただけるだけでうれしいわけで、お礼ができるならばしたいという感情の現れです。

PRを請け負うならいざ知らず、通常のサイト運営者がSNSを利用する場合には損得のない感情で活動した方がよいのではないでしょうか?人によってはうまくできるとは思いますが、できないのならするべきではありません。

多少横道に逸れましたが、重要なのは上でも述べた「交流する」という点に尽きます。PRという文脈で捉え直すと、

他人のサービスを紹介しないで自分のサービスが紹介される訳がない

となります。
「求めよさらば与えられん」だけではなく「与えよさらば与えられん」といったところでしょうか。

講演まとめ

最後に、講演で話されたコンテンツSEOを成功させるための注意点を。

  • 第一人者になる
  • リンクが少なくともブランディングされている場合がある
  • SEO要素を考える
  • サーバーの負荷に気をつける

「言うは易く、行うは難し。」とはいいますが、松尾さんの凄い所は実際にこれらができているということです。

結び

最近コンテンツSEOという言葉が広がっていますが、この講演で松尾さんが話されたのは現在話題のコンテンツSEOとは違う物だと考えています。

最近話題のコンテンツSEOとは、検索エンジンに評価されるための要素としてのコンテンツを作り込もうという文脈で語られていることがほとんどです。
それゆえにキーワードの更なる詰め込みや、キーワードありきのコンテンツ制作が行われます。
もちろん、こういった流れの元情報ではユーザーの役に立つコンテンツと言う前提があったと思うのですが、わかりやい言葉はその言葉単体で意味が広がりやすく浅い解釈が生まれやすいのでしょう。

一方、松尾さんが話されたコンテンツSEOは結果としてSEOではありますが、手法の視点はSEOではないように感じます。
バイラルなコンテンツはあくまで人が対象です。なぜなら人が媒介しないとクチコミが増える事はあり得ませんから。SEO的な要素はその後にリンクという形で発生してきます。

依頼をうけてSEOのためのコンテンツを作成するかもしれませんが、結果としてSEOになるわけで、コンテンツの作成自体はもっと違う視点で作りあげてクチコミを広げるはずです。検査エンジンの方ばかり見ているようでは実現不可能な手法でしょう。

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