先日、クライントさんから「サイトがパクられました!」とご連絡をいただいた際に感じたことなどを少々。
パクられ範囲
「パクられました!」と連絡を受けて調べた所、同業他社に部分的にパクられていたことを確認しました。サイトのパクられ範囲は以下の通り。
- サイトの色彩構成
- メインコピー
- イラストの使い方
- 大まかなレイアウト
また、内容的に以下のような点もありました。
- クライアントさんの特長を否定した上でアピール
- クライアントさんの特長をパクる
サイトのパクられ範囲
サイトとしては、個別の要素が抜き取られて反映されている印象でした。
WEBデザインのギャラリーサイトがいくつも存在するように、WEBデザイナーは他のサイトを見て勉強します。時には要素を取り入れることももちろんあります。その意味でも、今回の件はサイトを丸パクリとは言い難い状況でした。有り体に言えば、そこまで似ていないという具合です。
しかしながら、サイトを制作したのが素人の方ではなく私と同様に携わる会社のため、メインコピーと色彩構成はちょっと困りものです。
メインコピー
私が作成したサイトはメインコピーも考えてご提案したものです。クライアント様にも気に入っていただき、それを象徴的に使っていたり、全体の背骨としても意図して利用していました。
その骨格みたいなコピーを使われてしまうと、パクりサイトによって元々のサイトで強調したかったイメージが弱くなる印象です。
色彩構成
メインコピーはまだマシなのですが、色彩構成はちょっとばかり深刻でした。
サイトを作成するにあたり、コーポレートカラーも同時に決定されたため、サイトにもその影響が色濃くあります。その時点で同業他社に同じキーカラーがないことを確認した上でのことでしたので、微妙に似ているサイトに配色の雰囲気をまねられると、ユーザーの混乱を多少なりとも招く懸念がありました。
内容のパクられ範囲
詳細に書けないのですが、クライアント様には同業には無い売りとなるポイントが複数あります。サイトではその点をイラスト化したり、撮影して写真を掲載したりしていました。
パクりサイトは、オリジナルのサイトに使った写真と似た様な状況を作って撮影して掲載していた次第です。写真に含まれる要素はそのまま同じでしたが、その要素の質がかなり落ちる印象でした。
オリジナルに対するピンポイント攻撃
前段で書いたクライアント様の売りとなる部分。これを引き合いに出して「〇〇という会社もあるが、当社は△△だから良いのだ」という表現が散見されました。
こういった手法は珍しくはないですし、私もご提案したことはあります。同業他社の問題点を克服した形でサービスを提供するというのは、後発組の常套手段ですから。サービスの穴を埋めていくとも言えますし、ユーザーのためにもなります。
ですが、パクりサイトは控えめに見ても具体的かつ悪意を感じるような内容に思えました。しかも、その他のパクられ部分(業種や色やコピーなど)との相乗効果で、特定に相手を狙い撃ちしている印象が非常に高まります。
一言で言えば、やりすぎです。
パクられてみて思うこと
以前、他のクライアント様からも似たようなご連絡をいただいたことがありますが、その時はどう見てもパクられたとは言えないレベルでした。しかし、今回の件は明確にクライアント様を意識している内容に思えましたから、いわば初めての経験でした。そこで、これ幸いと色々と調べたり考えたりしたのですが…。結論としては
「劣化コピーのようなパクリは、オリジナルの引き立て役に過ぎない」
でした。
引き立て役
なまじ似ている部分が多いせいで、ユーザーは自然と比較してしまいます。もちろんパクった側もそれを理解した上でメリットがあるから作っているのだと思います。ですが、オリジナルを超える質を持たないならば引き立て役にしかなりません。
これは、サイトだけではなくて事業にも言えることです。クライアント様の特長を批判し、部分的にパクっていると書きましたが、その点が仇になっています。具体的には、全てにおいて説得力がありませんでした。違いが明示できても、その違いから顧客が得られるメリットが明確ではないのです。
結果として、多くを比較しているユーザーには対して魅力的には映らず、類似で質の高いと思われるオリジナルに目が行きやすくなると期待できます。
骨組みの重要性
通常、サイトを0から作成する場合はサイトの骨組みをしっかりと作ります。概念、内容、構成、文章、レイアウト、装飾などはその骨組みに沿っている訳です。
今回のパクリサイトは他のサイトから部分的なパーツを取って来て作られたものなので、骨組みがグラグラな印象でした。この印象はサイトを回遊し、文章を読み、写真を見ると、思った以上にはっきりと感じられます。
部分的に要素をパクって集めてみても、全体として見ると良い結果にはならないことが実感できました。漠然とは想像していましたが、思った以上に酷い印象です。
パクリサイトを見て薄っぺらいと感じる原因はここにあるのでしょう。
結び
今回の件は、特に反応する必要はないというご返信をしてクライアント様も納得されました。
しかしながら、クライアント様も気にしてはいましたが、オリジナルを超える形でパクりサイトが現れた場合は大きな問題となります。が、この場合は単純に強力な競合他社が現れたという事なのでしょう。
サイト的な意味ではリニューアルを行うタイミングでしょうし、事業的にはてこ入れが必要になるタイミングとなるはずです。事ここに及べば、問題に本質は変わります。
SEO的には
今回の件は、内容とバックリンクの調査からSEO的にも問題ないと判断しました。しかし、パクりサイトが強力なバックリンクを持って現れた場合にはかなり面倒なことになると思います。
理想としては、オリジナルサイトにも強力なバックリンクが付くような施策を行うことで、その状況を未然に防ぎたい所ではあります。
3人がこの記事を評価
役に立ったよという方は上の「記事を評価する」ボタンをクリックしてもらえると嬉しいです。
連投防止のためにCookie使用。SNSへの投稿など他サービスとの連動は一切ありません。