先日恐ろしく長い打ち合わせがあったのですが、思い返せばこういう事は何度かありました。
相手がインターネットをほとんど使った事がない方で、基本的な説明から入るために説明量が多いからです。サーバーが敷地でドメインが住所なんて説明は序の口で「インターネットに繋がないとメールが見られないんですか」のようなご説明からになります。
何の打ち合わせか分からなくなりそうですが、WEBサイトを作る打ち合わせです。
さて、今回はそういったWEB素人の方に関わる事というわけではなくて、自分が行ってきた打ち合わせの中身を思い返してまとめてみた「WEBサイトを作る」ってどいうことだという私的見解です。
前書き
冒頭で「自分が行ってきた打ち合わせの中身」と書いていますが、この中身は私が全て想定した通り進んだ結果ではありません。
打ち合わせの過程で質問を受け、回答し、時に横道に逸れる。そういったやり取りの結果です。今回の記事の内容にはそういった思わぬ経験が関与しており、研究や理論中心でできた訳ではない点を先に述べておきます。
「WEBサイトが欲しい」というご依頼
連絡をいただく際には当然「WBEサイトた欲しい」というご要望が核にあります。
WEBサイトで何がしたいかは十人十色ですが基本的に商売をされている方ばかりなので、商売に役立てたいというあたりは皆さん同じでしょう。
で、大抵は開口一番「キレイなホームページ」「他所とは違うカッコイイホームページ」という見栄えのお話から始まります。
そして始まる打ち合わせ。
まず何を話すか
冒頭の純真無垢なWEB素人の方と関わる事があるからでもありますが。最初にお話しするのは、
サイトで何がしたいのか
を決める事です。いわば目的ですね。これが決まらないと作れませんぐらいのプレッシャーをかけつつ、考えていただきます。
最初は「儲けたい」というぼんやりなイメージも、話が進むにつれ「本業で儲けるために何が必要か」「儲けるためにどうサイトを使う方がいいのか」ぐらいの具体的な話になります。この辺りまでくればお客さんの頭の中にサイトの柱ができ始めると思います。
ちなみにこの話をする前に、伺う前の段階で得ている情報を元に提案書を作って持参しその内容を見ながら話をすすめています。目の前位にたたき台が有ると無いとでは雲泥の差ですから。さすがに口頭のみで上記の様な話を進める力は私にはありません。
その他諸々
打ち合わせの進め方を書くとかなりの分量になりますので、今回は端折ります。また機会があればそういう記事を書こうかと思ってますが。
さて、前段の様にして柱の基礎を作ったらサイトを見てもらいたい(ターゲット)や必要な機能(前段のサイトの使い方を核としてコンテンツなどを考える)や運営方法(ブログがいるのか/電話対応メインか/対応時間は)などを話していきます。
この辺りで結構な時間を使い、ようやくデザインのご要望などを伺います。
サイトの中身
ここまで読んでいただいてお分かりいただけたかもしれませんが、打ち合わせでデザインに触れるのは最後の方で軽く触れる程度です。
初回の打ち合わせ、と限定するならばそれこそ形容詞や色などでイメージを伺う程度の場合も。
こういう打ち合わせをしていると実感するのですが、
「WEBサイトを作る」の中身は外側のデザインだけじゃない
ということです。何を今さらという話ですね。ですが恐らく「何を今さら」と思われた方の思う以上に見た目の部分だけじゃないです。
サイトを作る事=事業に向き合う
前述の打ち合わせを進めると、結果的に色々な方向に話が広がります。
例を挙げれば。
営業の方がいるとして、営業先で「あの商品だけど写真とか使用例はないの?みたいんだけど」と言われ現場で対応できなかった話が出たとします。こういう話を聞けばその商品に関する情報をサイトに載せようという話も出てくるでしょう。
それだけではありません。他にこういう情報を載せればこういう営業ができるという話もできる訳です。
この例を見ると、サイトに内容が外回りの営業さんの営業内容や方法を変える事ができることになります。
他にも、例えばサイトからの問合せ経路として電話かメールのどちらを重視するかという場合。メールであれば誰が見るのか。見てから誰に送るのか。送った後の顧客管理をどうするのか。といった受注経路の見直しが必要になります。
「誰かが見るからいいや」などというあやふやさがダメなのは社会人なら誰しも理解しているのですから、サイトを作ることであらたにできる「メールを経路とする情報」の扱いを決めることは重要です。
場合によってはWEBからの問合せに対して責任を持って対応する責任者を決め、その方に必要な権限を与えて仕事の振り分けを行わせることになるかもしれません。
このようにサイトを作る事は事業や体制など仕事に関連する多くの事柄に向き合う事でもあります。向き合わないと何かしらがあった場合に対応できませんし、作ったサイトを制御して活用できませんから。
簡単にサイトが作れるサービス
現在ではとても簡単にWEBサイトが作れます。
デザインもいいものがあるご様子。メールフォームなどもお手の物。慣れてくれば十分に活用できるでしょう。
主にフロントエンドを作るWEBデザイナーなんてお払い箱っぽい雰囲気もそこはかとなく。
実際、「自分でサイトを作りたいからアドバイスをしてくれ」というある分野のデザイナーの方を紹介された事があり、そういう方ならセンスよく作り込む事ができる可能性も高いはずです。
が、こういったサービスに対してそれほど焦りを感じていません。
サイトという形を作る事だけが仕事だとは考えないからです。長々と書いた打ち合わせの事柄も「WEBサイトを作る」の中身なので、簡単にサイトが作れるサービスは競合とは違う感じです。
むしろそういうサービスで作ったサイトを「現実の事業や運用状況に即した形になるように手を加える」という仕事があるかもな、と欲を出す思いが少しはあったり。実際に動いている訳じゃないので書いているだけですが。
なお、簡単にサイトが作れるサービスを無視したり批判したりする気は全くありません。便利だし有益だと思っています。ただ、過度に反応する必要がないだけです。
デザイン一本で勝負
見た目のデザインを主力としたクオリティの高さでとことん勝負!これも一つのやり方ですし、この場合のクオリティであれば相当な力があると思います。
ひたすらにデザイン力を磨いた方は時として「デザインがいいけど使いずらい」という批判を見事に押さえつけるでしょう。
明らかに小さな文字でリンクも押し難く、パッと見で構造が分かり難く画面推移も予想できない。
でも、理屈でなく魅力的。
または一見使いづらそうでも、実際にサイトを利用するとごく自然に利用できるような、
ユーザビリィティが高くて綺麗でカッコいいサイト
を作ることができる方もいらっしゃるでしょう。
それだけの物が作れるならば、あるいは作る事を目指すならば見た目重視でも問題は無いと思います。それは上滑りではない、十二分にしっかりとした土台を持つスタンスとなり得るからです。
結び
「WEBサイトつくれるの?」という質問をする方は、見栄えの部分に気がいっている場合が多いように思います。悪い事ではないですしむしろ普通の事でしょう。
ですが、それを受けた側も同じように考えていては「使えるサイト」は作り難くなるのではないでしょうか?見た目のデザインの話の前に話す事は山ほどあるはずです。
以上、「WEBサイトを作る」の私的考えでした。
デザイン
実はデザインという言葉の扱いに困っています。
デザインには見た目の装いという意味だけでありません。weblioで調べると以下の様な説明があります。
三省堂 大辞林
デザイン 2 [design]
行おうとすることや作ろうとするものの形態について、機能や生産工程などを考えて構想すること。意匠。設計。図案。
WEBデザインというと一般的には見栄えの部分が中心かとは思いますが、「設計」部分にも関与していくデザインも大切ではなかろうかと思います。
この件を書くとまた長くなりますので、またの機会にでも。
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