なぜ、英語サイトがセンス良く見えるのか?の一考察。

英語サイトはセンス良く見えるのか?
英語サイトはセンス良く見えるのか?

優れたデザインとして海外のサイトがとりあげられることがあります。頻度としては日本においても日本語のサイトより多いかもしれません。

海外のサイトが常に優れている、というわけではありませんが、日本のサイトデザインよりもセンスが良く格好も良いように見えることが多々あります。

理由はいくつもあるかもしれません。例えばHTML5を用いた新表現の導入などの技術的側面や、斬新なレイアウトや魅力ある一枚の写真など。

ですが、この生地ではそれらに主眼はおきません。デザインとそれを見る人間に主眼を置きます。

もしも育った環境や国が違えば、今と同様に「センスがいい」と感じられるのでしょうか?

なお、この記事では「デザイン=見た目上のデザイン」という括りで限定させていただきます。構造やユーザビリティなどを含むとややこしくなりますので。

英語サイト

海外のサイト、といっても私が見るのはアラビア語や中国語のサイトではなく英語のサイトです。理由は単純で、少しは内容が分かることと紹介されている割合が他言語に比べて圧倒的だからです。

そのため、冒頭で書いた海外サイトは、以降は英語のサイトを指すことにします。

さて、英語のサイトとは何なのかと言えば。基本的な言語が英語であり日本語サイトのデザインをそのままに中身を英語で作り替えたサイトではありません。他言語対応でデザインを全く作り替えるというなら話は別ですが。

この英語サイト、カッコ良さやセンスの良さを感じませんか?それこそ日本のサイトには感じられない程のレベルで。

なぜ英語サイトはセンス良く見えるのか?

なぜ英語サイトはセンス良く見えるのか?いろいろとご意見はあるかと思いますが、個人的な結論は以下の通り。

英語をデザインの一部として感じ、センスのいいデザインに見えるから。

少々ややこしいかもしれませんが、これは「言語としての文字」を「ある種の記号」として見てしまうからだと思います。

言語と記号

簡単に説明しますと。

読めない文字や馴染みのない文字を見る時、大抵の場合は文字を意味ある記号と認識せずに装飾として認識してしまうからです。

例えば、アラブの言語を見て意味が分かる人はそう多くはありません。英語であっても達筆な筆記体を読める方もです。これらを見たとき文字として認識しつつも、意味が分からないために最終的には文字としての認識をあきらめ装飾として、つまり意味ある文字以外のものとしての見方に落ち着いてしまいます。

エジプトの象形文字も良い例でしょう。

ただ、文字としての認識を全てなかったことにしている訳ではありません。意味ある装飾という絵文字そのものの認識に変わると思われます。

前提

通常は冒頭に書く前提ですが、今回はこの位置に。

前述しました個人的結論やそれ以降の内容は、以下の前提に沿っています。

英語サイトがセンス良く見えるのは、英語が読めない日本人だから。

英語が母語であったり母語レベルで慣れている場合は、この記事の内容は恐らくあてはまりません。日本人がセンスがいいと感じる海外のサイトを、英語が母語の国でまったく同じように見ていることは考え難いと言えます。

彼らにとってそれは言葉であり、意味の分からない装飾ではないからです。英語が1ワードあるだけで、そこからデザインよりも先に、しかも強く意味を感じるのです。

日本人が書画の1文字に情緒や世界を感じるのと似ています。

英語はセンスがいいのか?

そもそも英語をデザインとしてみたときセンスがいいのか?

これは恐らく後天的な経験に影響されていると思われます。

例えば、英語を取り入れたデザインは街中に氾濫しており、いずれも「センスいいでしょう!」という強いアピールがなされています。これらを見て育つわけですから、大人になる頃には「英語=センスがいい」という概念ができあがるのでは。

なお、日本語にはデザイン的なセンスがないと見られている、というわけではありません。漢字のタトゥーを入れている海外の方を見ると、日本語に対する見方も多少推測できるのではと。

日本語で英語サイトのようなセンスをだせるか?

では、英語サイトで感じるセンスのいい見栄えを日本語のサイトで実現できるのでしょうか?

場所が日本で、一般的な日本人が対象となるユーザーである場合、

日本語で英語サイトの見栄えを再現する事は不可能

と言えます。

確認方法は簡単です。センスがいいと思う英語サイトをGoogleの翻訳にでもかけてみてください。レイアウトのうまさでセンスが良く感じることはもちろんありますが、英語で見た際に感じた魅力はないはずです。

これは当然タイポグラフィーを前面に押し出したサイトであれば顕著に出ますし、文字がほとんどないサイトではあまり差を感じないでしょう。

結び

英語だとこう見えます。
英語だとこう見えます。※クリックで拡大

英語サイトがセンス良く見える理由を、言語や母語の点から考えてみました。

なお、右の画像はGoogle翻訳にてこのサイトを英語で翻訳したものです。多少はセンス良く見えないでしょうか?

英文フォントは日本語フォントに比べて多用であるため、仮のこのサイトを英語で作る場合はAmerican Typewriterあたりを使って調整したい所です。

所有のサイトを英語翻訳するとまた違った見え方になりますので、お試しくださいませ。

繰り返しになりますが、英語が日本語よりデザイン的に優れているという意味ではありません。どの程度文字を文字として認識できているかによるのです。

英語サイトがセンス良く見えて、それを取り入れて欲しいという依頼があった場合。この記事の内容を少しばかり思い出していただければと思います。英語という文字に由来する要因であれば、日本語での再現は非常に難しいですから。

もちろん、文字以外の要素に起因するのであれが話は別ですが。

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