Shopifyとカテゴリーに関するメモです。
Shopifyとカテゴリーと階層構造
- Shopifyにはカテゴリーという名称の機能は存在しないが、コレクションを作ることでカテゴライズできる
- コレクションには階層構造が存在しないので、「大カテゴリー>中カテゴリー>小カテゴリー」のような状態は作れない
- グローバルメニューなどの各項目のレイアウトで階層構造のように見せることはできるが、実際に階層構造として作れるわけではない
- タグなど他の機能を使っても実現できない
日本に限らず、またサイトの種類に限らず、カテゴリーには階層構造が存在すると考える方も多いと思いますが、Shopifyのカテゴリーには階層構造がありません。
商品のURLからみる階層構造
- example.myshopify.com/products/product-name
canonicalで指定される正規の商品詳細URL - example.myshopify.com/collections/collection-name/products/product-name
コレクション経由でアクセスした際の商品詳細URL
検索エンジンが認識するURL構造としては、canonicalで正規化された上記1のURLが認識されるはずです。つまり検索エンジンはURLから商品がどのコレクション(=カテゴリー)に属しているかという階層構造が確認できません。
ただ、商品が複数のコレクションに属することは容易に想像されますし、望まないどれか一つのコレクションが自動で選ばれる事態を考えますと、URLにコレクションを含めない現在の形は理にかなっています。
JSON-LDによるマークアップ
商品ページのソースを表示させて下部をみればわかりますが、以下のように自動で出力されます。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "http://schema.org/",
"@type": "Product",
"name": "product-name",
"url": "https:\/\/example.myshopify.com\/products\/product-name","image":[
//以下省略
"brand": {
//以下省略
"offers": [
//以下省略
当然ながらここにもcategoryの表記はありません。
疑似的にでもカテゴリーを導入し、かつ構造化マークアップも徹底したいなら、JSON-LDの記述に対してのカスタムも検討する必要があります。
パンくずリストがない
関連して、Shopifyにはパンくずリストも存在しません。アプリや自作によって追加可能ですが、カテゴリーが存在しないためかコアな機能としては提供されません。
検証はしていませんが、以下の記事などがパンくずリスト構築の参考になると思います。
[追記:2023.11.17]
公式ドキュメント内の以下ページにサンプルコードがあります。
Shopifyのコレクションの特性
階層構造を持つカテゴリーは有用ではあるので、Shopifyのコレクションに疑問を感じる部分は確かにあります。
しかしコレクションにも当然有用な点があり、例えば以下のような事柄が挙げられます。
柔軟性に富んだ商品一覧作り
- 在庫数、重量、バリエーション、などの要素を単独あるいは組み合わせて条件を作成し、合致した商品あるいは合致しない商品の一覧を表示できる
- 条件に選んだ要素はストアの状況時応じて変化し、その結果が一覧として表示される(例:一定の在庫数を条件にした場合、在庫数が条件数以下になれば消え補充すれば表示される)
- 自動コレクション作成時の選択条件は最大で60個まで設定可能なので、ストアの商材に応じた一覧が作成できる
- コレクションの作成は管理画面内で完結するためコードを書く必要はない(制作の知識は不要)
上記のような柔軟性はメリットであり、例えば以下のようなお店側が意図する売り込み方に直結したページが簡単に作成できます。
- 「夏の特集として、青色で重量が軽く、特定のメーカの商品のみの一覧を作成し、在庫の多い順に並べて表示させる」
- 「冬の特集として、黒かグレーか白かで素材がダウン、かつ10,000円以内の商品のみの一覧を作成し、重量順に並べて表示させる」
ここまでを踏まえればコレクションとは以下のようなものだと考えられます。
- コレクションは、
ストア内に島(=特集売り場)を作る機能
システムとの連動
コレクションをつくることでShopifyに用意されている機能をコレクション単位で実行できるようになります。例えば上記ページにありますが以下の通り。
- コレクション別に送料を設定する
前出2つ目の「総額表示への移行の準備を始めましょう」の記事にありますが、定率減税の8%を適用する商品の設定時に重宝します。
このようにストアフロントだけではなくバックヤードの作業のために用いることもできます。
コレクションによる税率設定の注意点
コレクションを利用し8%と10%の2つの税を用いて運用する場合、税の優先適用の設定を使う必要がありますが、上記ページに以下のような注記が書かれています。
手動コレクションのみ、税の優先適用の設定に使用できます。自動コレクションを使用することはできません。
自動コレクションは税の優先適用の候補に表示されないため、新たに手動コレクションを作成する必要があります。
コレクションの種類
- コレクション · Shopify ヘルプセンター
- 手動コレクション(Manual Collections/Custom Collections)
手動のコレクション · Shopify ヘルプセンター - 自動コレクション(Automated collections/Smart Collections)
自動コレクション · Shopify ヘルプセンター
手動と自動の2種類がありますが、上記1つ目のURLに以下のような説明が記載されています。
自動コレクションでは、選択条件を使用して一致する商品を自動的に組み込みます。選択条件を60個まで追加できます。コレクションに含めるには、商品がすべての条件に一致する必要があるか、または一部の条件に一致する必要があるかについても選択できます。コレクションの選択条件に一致する新しい商品を追加すると、その商品は自動的にコレクションに追加されます。
手動のコレクションには、個別に選択した商品のみが含まれます。このため、特に商品を追加または削除しない限り、コレクションには常に同じ商品が含まれます。
コレクションの上限数
ドキュメントをみても特に何も書かれていないようなのですが、上記ページに以下のようなことが書かれていました。
It took forever to get an answer, but Shopify finally told us that the limit on smart collections is 5,000, and the limit on manual/custom collections is 100,000.
Thank you for being so persistent in finding an answer to this…I have been wondering this for a long time. Shopify staff consistently say “There are no limits” even into 2020…100,000 and 5,000 are limits. We need to know this info. Good luck ~
文章化された根拠の提示はないようですが、以下のようになる模様です。
- 手動コレクションは最大で100,000
- 自動コレクションは最大で5,000
結び
ある意味、郷に入っては郷に従え、という言葉を念頭に考えた方がよいかもしれません。
カスタマイズにてある程度対応できるとは思いますが、逆に言えばカスタマイズしないと要件を満たさないと言えるため、日本のECサービスに慣れていてその機能が必須だと考えているのであれば、Shopifyを選定するかどうかを再検討する必要があるように思います。
それでも、例えば「インフラの強さや安定性が必須なのでShopifyを使いたい」という場合は、他のECサービスに存在する機能を求めることを諦めるか、適宜開発やアプリのコストがかかるという認識をしっかりもつ必要があります。
特にアプリは有料の場合だと毎月お金がかかりますので、イニシャルではなくランニングコストとして運営中ずっとのしかかってくる点に留意するべきです。
他方、お店側の視点や認識を変えることでShopifyを選ぶ理由が出てくる可能性もあります。お店側が独自で管理画面を用いて、「ある切り口でまとめた商品の一覧」を自由かつ即時に作成しできるという価値は、とても大きいはずですから。
「売り時を逃さずリアルタイムに売り場を作ることができる」という点において、Shopifyは他ECよりも簡易かつ高性能な機能を提供しているのではないかと思います。
9人がこの記事を評価
役に立ったよという方は上の「記事を評価する」ボタンをクリックしてもらえると嬉しいです。
連投防止のためにCookie使用。SNSへの投稿など他サービスとの連動は一切ありません。