ロケ先の環境光に負けない便利な照明「TWINKLE 02 III」:撮影機材紹介

ブツ撮りに限りませんが、撮影では環境を整えることが重要になります。

商品のセッティングやアングルの決定などはもちろんですが、ライティング(光の設定)も重要な準備です。外光以外では照明を使うしかありませんので、ロケ先で一定の環境を常に確保するためには照明の使用が肝になるからです。

今回の記事でとりあげるモノブロックは、ロケ現場での照明に関する問題の多くを解決してくれた便利な機材です。

プロカメラマンではない人間が書いていますので間違いがあるかもしれません。その際はご指摘いただければ幸いです。

コストパフォーマンスに優れたモノブロック「TWINKLE 02 Ⅲ」

コメット社製のモノブロック「TWINKLE 02 Ⅲ」
コメット社製のモノブロック「TWINKLE 02 Ⅲ」
※フード付き

私が所持しているのはコメットという会社の「TWINKLE 02 Ⅲ」というモノブロックの照明です。

この商品を買う決め手になったのは、価格と大きさと重さと電源。そして、もっとも重要な一点は後述する光の強さです。

撮影用照明機材は非常に高価なイメージですが、「TWINKLE 02 Ⅲ(200Ws)」は希望小売価格でも8万円ちょっと。コメットさんのラインナップの中でも安い部類です。このTWINKLEⅢシリーズは比較的手頃な価格帯で、最大値が400Wsの「TWINKLE 04 Ⅲ(400Ws)」でも9万円位です。…今思うと400Wsのタイプの方がよかったなと思わないでもないです。

大きさは、本体と取り付け部位を入れてもA4サイズに充分収まります。重さは「TWINKLE 02 Ⅲ(200Ws)」であれば1.25kgで、コード類を入れても片手で持てます。保管時や移動時にコンパクトであることのありがたみが骨身に沁みます。

一見似た形に見える照明でも、電源部がライトから独立しているタイプがあり、これが旧来からの照明のようです。この場合、ライトと電源部の2つが必要ですのでかさばります。ですが、「TWINKLE 02 Ⅲ(200Ws)」はモノブロックタイプですので電源部を内蔵しており、ライトだけで撮影可能です。

機能や光量は入門機クラスなのですが、Webサイト製作用の写真を兼業で、かつ1人で撮る場合には充分な内容です。

ちなみに、支柱と後述するアンブレラなどがセットになっている商品もあり、初回購入ではこちらを買った方が良いかもしれません。私は既に支柱があったのでモノブロック本体だけ購入しまし、のちほどアンブレラも追加購入でした。

モノブロックとは

TWINKLE 02 Ⅲのコントロール部
TWINKLE 02 Ⅲのコントロール部

前段でモノブロックという言葉を使っていますが、いきなり言われても何が何やらですので簡単に説明を。

モノブロックストロボ、モノブロックライトとも言われる照明機材で、電源部と光源部が一緒になったものをモノブロックと言います。前段で「電源部が独立している照明」と書きましたが、独立しているものはモノブロックとは呼びません。

電源部が内蔵されているためコンパクトなことが特徴で、私のように1人で機材を持ち運びする人間には大助かりな仕組みです。発光部と反対側に調整用のひねりなどがあり、シンプルながら調整が可能です。

反面、複数の照明を同時に調整しながら使う場合には、モノブロックではない通常の照明の方が断然有利です。一つの電源部に複数の照明を設置できる上に、電源部で光量の調整などが可能だからです。

また、照明を買い足す場合には、モノブロックだと必ず電源付きの価格ですが、通常の照明は発光部のみの買い増しで済むみます。結果的にモノブロックを増やすよりも安くなります。

Ws

単位として200Wsや400Wsと書いていますが、これは「ワット秒」と呼ばれる単位です。

1Ws=1J(ジュール)と換算でき、電流が行う仕事量のことを指します。文字通り1秒間の仕事量ですから、Wh(ワット時)とは違います。

実際使う分には細かく考える必要はないでしょうが、通常はJのところをWsと書くことが多いようなので参考までに。

環境光をかき消すモノブロックの光

室内の照明にもさまざまな種類があります。
室内の照明にもさまざまな種類があります。

実際にはモノブロックというよりも光量の大きなストロボである点が重要なのですが、この光の強さが重要なポイントでした。

ロケ先で遭遇する室内照明の様子は多岐に渡ります。内装整えても照明の選択一つで台無しになったりより完成度が上がったりしますので、場所毎に色温度も質もそれぞれに合わせていて色々です。そんな中で商品や食品を撮影するのですから、照明の色に惑わされずにそのもの本来の色を出すことが第一条件になります。

解決策に悩んでいた時に、たまたま仕事でお会いしたプロカメラマンの方に相談する機会を得ました。そこでモノブロックを勧められたわけです。勧める理由は、モノブロックの強い光で環境光を消すことができるから、でした。

考えてみれば、カメラ付属のフラッシュストロボを使うとどんな室内でも白い光で被写体が照らされます。これと同様に、強い光を出せるモノブロックがあれば環境光をねじ伏せることができるわけです。

理想、といいますか通常であれば最低2灯ライティングになるようですが、資金と物理的なかさばりの問題から一灯ライティングとなってしまいました。

もっとも嫌な光

被写体の各面にあたる異なる光とモノブロックの光。
被写体の各面にあたる異なる光とモノブロックの光。

個人的に、最も嫌な光は複数の光源が被写体の各面にあたっている状態です。

例えば、立方体を撮影する場合に3面それぞれに蛍光灯の青い光、裸電球のオレンジの光、外光の白い光があたる場合。被写体そのものの色を出すために色のほせいをしてもどうにもなりません。

外光の白に合わせると見たままで左右のメインの色がオレンジと青になります。オレンジの光の元でも白が白く見えるようにすると、他の面は青くなります。蛍光灯の青に合わせても同様。

結局の所、各面をマスクして個別に補正する位しかありません。立方体であればそれも可能でしょうが、そんな簡単な形状の被写体ばかりではありませんので大変です。労力も無駄にかかります。

であれば、撮影前の環境づくりで光を一種類に絞る方が断然効率的です。モノブロックはその意味で非常に重宝しています。

本来であれば「白を白く見せる」ための機能として「ホワイトバランス」という設定がデジタルカメラには大概ついています。状況にもよりますが、一種類の光であればホワイトバランスの調整で簡単に補正が可能な場合があります。問題なのはやはり複数の光源だといえます。

レフ板の使用

レフ板で光を反射。
レフ板で光を反射。

どうがんばっても一灯ライティングの光の方向は一方からのみです。ですから、照明と逆方向にあたる環境光はそのままになってしまい、被写体に複数の種類の光が当たってしまいます。

こういう場合は、レフ板をつかって光を回します。簡単に言うと、被写体の右からの光を左の反射板で反射して、左側面にも同じ光をあてる訳です。

大抵レフ板は光を透過しませんので、レフ板を使うことで環境光のカットもでき、一石二鳥です。

白いレフ板以外もあり、黒のレフ板を使うと影がより強調され、銀のレフ板を使うと白よりぎらついた反射光を作れます。どういう種類の光を反射させたいかをレフ板でコントロールできる点を忘れてはいけません。レフ板=白よりも表現の幅が広がるはずです。

アンブレラの使用

直進行と拡散光とアンブレラ。
直進行と拡散光とアンブレラ。

アンブレラとは、ストロボ照明につける笠のことです。内側がレフ板になっており、光を拡散させます。この「光を拡散させる」点は非常に重要なポイントです。

ストロボは直進光を放っており、被写体にあっても回り込んだりしません。反面ストロボ撮影の光は力が強く、光のあたる面は非常に明るくなり当たらない部分には強い影ができます。報道写真などで強い影ができているのはこのストロボの特性故です。

報道写真のようにちょい光で一瞬を逃さずに撮影する場合や、劇的な印象を持つ写真にしたい場合は別ですが、ブツ撮りでは直進光ではなく拡散光が必要です。商品全体に光を回すことで影の部分を含めて細部まで描写する必要があるためです。

アンブレラを使えば、ストロボの光を適度な拡散光に変えることができます。

なお、光の拡散、あるいは点光源を面光源に変えるという機能をもつ便利かつ必要な道具にディフューザーというものがありますが、これはまた別の機会にご紹介します。私が撮影する場合は、照明とディフューザー(レフ板としても使います)は必須の組合せです。

電源に関して[2012.10.12追記]

撮影専用の機材であるモノブロック。そもそも家庭用電源で扱えるものなのか?経験ではモノブロックとライトバンクの2灯が最大でしてどの程度まで使えるのかがはっきりしません。

そこで、電話でコメットさんに伺いました。返答は以下の通り。

  • 家庭用電源で問題はない
  • ブレーカーのアンペア数で使えるライトの総量がきまる
  • ジェネレーター(電源部)を使う場合はそのジェネレータの容量次第
  • ブレーカーが落ちてもストロボに特に影響はない(壊れない)

基本的にはその場所で使える総アンペア数に依存しており、例えば200Wの照明であれば20A(2000W)のブレーカーのある電源で最大10灯までつかえます。もちろん、大抵は他の電子機器が電気を使っているので、あくまでそれらを除いた量によりますが。

また、発光後のチャージ時には一時的に2.8から3倍の電力を使うようで、200Wの照明であっても軽く倍以上の消費となります。

実際に多灯ライティングで撮影する場合でも多くて4灯か5灯ぐらいでしょうし、光量を全てフルにする訳でもありません。200Wいっぱいまで消費しないのであれば、あまりシビアに考えることはなさそうです。

なお、コメットさんのジェネレーターは1200Wと2400Wがあるそうで、2400Wを使うと家庭用の15Aや20A(大抵はこちらの20Aだそうです)では足りません。が、ジェネレーターの先のライトの本数や出力をフルにしなければ問題はありません。

仮に消費電力過剰でブレーカーが落ちた場合でも、照明機材が壊れることはないそうなのでその点は安心です。もっとも他の電子機器は保証しかねますが。

結び

今回も長くなりましたが。が、ライティングの話などはまだまだ尽きませんし、私が知っている範囲など氷山の一角でしかありません。

色々な機材と様々な状況があり、そこに個別に対応するべきライティングがあるためです。この意味では、一つの機材で全部対応というのは虫の良すぎる話です。

しかしながら、全て揃えて全てに習熟するのは現実的でないと思いますし、結局のところ妥協点が必要です。現時点での私の妥協点は、このモノブロックによるライティングです。万能の一手ではありませんが、色々と対応しやすい形だと思っています。

撮影方法や機材の状況によってはお勧めできませんが、照明で困った場合の選択肢の一つにモノブロックを加えてみてもよいのではないでしょうか?

ちなみに、最近スピードライトを購入し、これも含めたライティングを研究中ですので、2灯ライティングになる日も近いかもしれません。モノブロックの買い増しが一番良いのですが、移動がネックになりそうでどうしても手が出せません…。

蛇足1

モノブロックを探す際に「安物のモノブロックが爆発した」という話をいくつか目にしました。

撮影機材もピンキリなのですが、価格だけで選ぶと痛い目を見ることになりそうです。特に照明のように発火の原因となりえる機材の場合には。

経験上、ライトバンク初心者用キットなどの1万ちょいのものから始めたとしても、ある程度慣れた段階で安心できる機材にバージョンアップした方が良いです。その頃には「もっとこうだったら」という欲求もでくるはずですし、入門キットでは荷が重くなっているので買い替え時ともいえます。

蛇足2

「TWINKLE 02 Ⅲ」はコメットという会社の照明ですが、実はこの会社である点も購入動機の一つです。

モノブロックを売っていたお店で聞いたのですが、大阪の南堀江に大阪営業所があり、機材のサポートをしていただけるのだそうです。使い方なども伺えるという話で、非常に心強いポイントでした。ちなみに、全国12拠点あるそうです。

コメットさんの詳細は下記のリンクよりどうぞ。サイトが少々使いにくい印象ですので、その辺りはお気をつけください。

ちなみに、Amazonさんでは扱いがありませんが、マーケットプレイス(他のお店がAmazonで商品を販売できる場所)でたまに商品が出てくるようです。↓

中古と言っても数万はしますが、中古自体をあまり見ないので、見つけたら確保も良いと思います。

中古を使うことに対する懸念がある場合は、ごく普通に新品をAmazon以外で買えば良いので、この辺りは個人個人のスタンスからの判断のしどころです。

なお、楽天では取り扱いがあるようですがメーカー直送というのもありますし、販売経路を絞っておられるのでしょうか?

大阪ではヨドバシカメラにはありましたが、ビックカメラには現物がなく取り寄せのみでした。

梅田と日本橋の中古屋さんを巡りましたが、さすがに照明機材は見つかりませんでした。

テスト撮影

モノブロックを使ったテスト撮影をおこないましたので、ご覧になりたい方は以下のリンクからどうぞ。

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