1人でロケ撮影。機材運搬用の車なし。こういう状態で非常に重宝しているのが今回の主題である「ライトディスク」。個人的には必須の撮影道具です。
安価で代用品は作れるようですが、携帯性と利便性を考えると多少高くともこういった機材を購入するほうがよいと思っています。安かろう悪かろうではないのですが、それなりのものを使うことで安心かつ思い通りの撮影が可能になるからです。
ある意味、私の撮影方法では核といってもよい重要な機材です。
Photoflex社の「ライトディスク」
私が所持しているのは、Photoflex(フォトフレックス)社のライトディスク。他社からも同種の製品は販売されていますので、特にPhotoflexに拘る必要はありません。とはいえ価格やサイズ、材質などを見た限りでは一番よいかなと思っていますが。
所持しているのは32inchと41inch×72inchの2種類。比較的小さな商品をテーブルセッティングで撮る場合は32inchを使っています。41inch×72inchは大きな被写体の時に使用するのであまり出番はありません。
詳細は後述しますが、ライトディスクは光を投下する白い布を円形などにしたもので、光を拡散したり反射したりすることができます。
実際の撮影においてはこのライトディスクの有無や位置、方向などを調整することによって光を調整できます。スタジオ撮影であればトレーシングペーパーを使ったより繊細な調整を行いますがロケ撮影では難しく、ライトディスクによって代替効果を適用している形です。
ライトディスクとは
記事を書くにあたりライトディスクの公式な説明を探したのですが..よくわかりませんでした。
どうやらPhotoflex社の製品名らしく、種類としては「丸レフ」や「丸ディフューザー」というものになりそうです。広義ではディフーザーやレフ板そのものともいえます。
ですので、ここでご説明するのはPhotoflexのライトディスクという商品を元にした説明である点をご了承ください。
ライトディスクの種類(ディフューザー)
もっとも大きな枠として、レフ板かディフューザーかに別れます。ライトディスクという同じ名前でも、特性と用途の違いがあるのです。
私が使うのはディフューザーでして、光を透過する白い布でできています。裏表はなく、どちらの面を被写体に向けても同じように使えます。
詳細は後述しますが、ディフューザーを使えば光を拡散させることができ、柔らかい光で被写体を包むことができます。光が一番当たる部分(ハイライト)が消えやすくなりメリハリが弱まる反面、全体の明るさが増します。
ディフューザーは光を透過しますが、それ自体が白い素材なのである程度光を反射します。これを利用して光をバウンス(反射)させ、レフ板としても使っています。
ライトディスクの種類(レフ板)
片面がシルバーやゴールドのライトディスクがあり、それらは光を透過せずレフ板として利用されます。俗に「銀レフ」や「金レフ」と呼ばれるレフ板と同様です。なお、光を透過しない白色のライトディスクもあります。
白いレフ板は比較的柔らかく光を反射しますので、被写体全体に光を回すために使われます。柔らかい光で柔らかい印象の写真を撮る場合には白レフが有効です。光を透過しない、レフ板専用のものもあるようです。
銀色のレフ板は光の反射がきつくギラついた光が被写体に当たります。光の質も堅く、鏡に反射した光を想像していただければよいかと思います。光沢やきつめの陰影を作る場合には銀レフがよいでしょう。ライトディスクに関していえば、片面が銀レフで片面が白レフのものもあります。
金色のレフ板は基本的に銀レフと同じ性質ですが、金色なだけあって光が黄色くなります。人物など暖色の光が好まれる場合や、黄色っぽい光で特殊な演出をしたい場合には金レフを使う必要があります。銀レフと同様に裏表で違うものがあり、購入するならそのほうが使い勝手がよいです。
豊富なサイズ
Photoflexのライトディスクには下記のようなサイズがあります。この豊富さもライトディスクのよい所で、被写体や撮影スタイルによって選択の幅が広いので痒い所に手が届きます。
- 12inch(30.48cm)
- 22inch(55.88cm)
- 32inch(81.28cm)
- 42inch(106.68cm)
- 52inch(132.08cm)
- 41inch×72inch(104.14cm×182.88cm)
最後の41inch×72inchは角丸長方形のような形ですが、他は円形です。フチに弾性のある金属が入っており、大きくとも形状を維持できます。もちろんたわんだりしますが折れはしません。
この弾性が重要で、コツはいりますが小さく畳んで収納できます。32inchのライトディスクを畳むと約30cmの円盤となります。もちろん広げるのは簡単です。
Photoflexのライトディスクではないのですが、畳み方の動画が公開されていますので引用します。説明書だけでは分かりにくく、この動画を見てようやく畳み方が分かった次第です。
左右の手の向きを逆にすることが重要で、円形ではない41inch×72inchを畳む際にもこれが基本となります。正直、41inch×72inchは非常に畳み辛く…。一回で畳めたことがほとんどありません。
ディフューズとは
何度もディフューザーや拡散光などの単語を使っていますが、ここで簡単にご説明を。
ディフューザーとはディフューズするためのものであり、ディフューズとは拡散することです。撮影においては光を拡散させる(ディフューズさせる)ためにディフューザーを使う訳です。
光を拡散させるとはどういうことかというと、言葉通りではありますが光が届く範囲を広げることです。横にだけではなくより広くといいますか、被写体が照明に向いている面だけではなく背面にまで光を届けることができます。
横に広げるだけではないので拡散という言葉を使います。そして拡散する光を拡散光といい、拡散せずに直線的に当たる光を直線光といいます。
光が拡散する場合、乱反射のような状態になります。レーザー光線のような一つの入射角と反射角しかない状態ではなく、色々な方向から被写体や台紙や壁やレフ板に光があたり、更に色々な方向に反射をします。
結果として、前述しましたように被写体の影に回り込むような光を作りだせます。
点光源から面光源へ。直線光から拡散光へ。
別の視点で見るとディフューザーは点光源を面光源に変えます。
とても単純な話なのですが、例えば懐中電灯のような直線的な光源を半透明の白い板(ディフューザー)に当てていると想像してください。
板に光が当たると、白い板自体が光っているように見えませんか?これが、点のような光が面のような光になっている状態です。…ご説明できているとよいのですが。
ちなみに、外光を活かす撮影の場合は薄曇りがよいとされますが、これは雲がディフーザーの役割を果たして太陽光を拡散するからです。拡散することにより光が被写体に回り込み、全体を明るく見せます。
ライトディスクの使用法
あくまで私個人の使い方にはなりますが、商品撮影時のライトディスクの使い方をご紹介します。
商品撮影時にライトディスクをディフューザーとして使う場合、光を拡散させる目的で使います。拡散によって被写体全体の明るさが増し、細部までカメラに写し取ることが可能となります。
しかし、その効果は光源とディフューザー被写体の距離によって変わります。この変化を調整して光の当たり方や被写体の見え方を調整して絵作りを行います。
ライトディスクは形が崩れ難い上に軽いため、片手で持って色々な位置や方向にセットできます。この取り扱いよさが最大の魅力です。
光源に近い位置にディフューザーを置く
光源に近い位置にディフューザーを置くと、拡散の度合いは小さくなり直線光に近づきます。
明るい光の芯のようなものが被写体に表れ、光沢を演出する際には重宝します。光が強くなると同時に影も濃くなるため、劇的な演出にも向きます。
もっと、ディフューザーがあるために基本的には淡い光ですので、淡い中にも強い光という場合に光源近くにディフューザーを置きます。
被写体に近い位置にディフューザーを置く
被写体に近い位置にディフューザーを置くと、拡散の度合いは大きくなり拡散光の性質が強く表れます。
求めるイメージにもよりますが、被写体の形状を影の部分までしっかりと写したい時や、柔らかな印象の写真を撮る際に向いています。
メリハリがない反面ははずれの写真はすくなく、安定感もあります。困った時は光を拡散させる方向で考えた方がよい場合が多いかと思います。
光源と被写体の間にディフューザーを置く
光源と被写体の間にディフューザーを置くと、前述の2つの中間の効果がでます。
中間であるが故にどちらにも変化させる余地がありますから、まずはこの中間で光の強さや方向を決めた方が効率がよいでしょう。その後に、より光沢をだすためや光を柔らかくするために位置を変えて対処して行きます。
結び
機材紹介の記事では毎回書いていますが、道具よりもまず先に「どういう写真をとりたいか」が明確になっている必要があります。この記事でご紹介したディフューザーを使っても、事前に明確なイメージがなければ撮影はおぼつきません。
どこを光らせどこを暗くするのか。単純に見えて非常に難しい作業です。
私がライトディスクを好む理由は、手に持って、簡単に位置や方向を調整できるからです。ロケ現場では被写体や環境を考慮して調整を行わなくてはなりませんが、手軽かつ微妙な調整が可能な点は大きな利点です。
また、1人ロケ撮影では荷物の圧縮はとても重要ですから、畳める機材である点も重要です。
テスト撮影
ディフューザーを実際に利用してテスト撮影を行いましたので、作例としてご覧ください。
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