前ブログを通して、いままで撮影関係の記事をいくつか書いてきました。撮影を始めた当初からすると考え方も撮影方法も機材も変化してきまして、いつかまとめておきたいなと考えた次第。
今回を含め、レンズや照明などをご紹介しつつ現状の撮影方法なども書いてみようかと。
なお、私はプロカメラマンではないどころか、特に講習もセミナーも受けていませんので撮影方法などには間違った点も多いかと思います。お気づきの点はコメントをいただけると助かります。
では本題に。今回は私がブツ撮りを行う際の主力レンズの紹介です。カメラ本体との兼ね合いもあるのですが、現状では手の届く価格ギリギリのラインの選択でした。なお、私の使用している本体はD5000というNikonのカメラです。
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」は名前が示すとおりマクロレンズ(Nikonでは「マイクロレンズ」というのですが、少々ややこしくなるのでマクロレンズと表記します)です。
マクロレンズとは近距離に強いレンズです。コンデジなどで「マクロモード」と呼ばれるモードがありますが、近距離という性能では同じ意味合いです。ピント合わせをオートで行う場合に実感できますが、近距離の場合マクロでないとピントがあいませんが、マクロだと合うはずです。
マクロレンズには扱い難い点もあり、ピントの合う範囲が浅くピント合わせが難しいといえます。ピントの合う範囲、というのは被写界深度といわれるものが浅いという意味ですが、簡単にいえばピントを合わせた一点から少しでも離れるとボケるというイメージで良いかと。
こんな説明では分かりにくいと思いますので、Nikonのサイトをご紹介します。そちらを見ていただければもっとちゃんとご理解いただけるかと。
レンズのことをさらに知りたいなら、同じくNikonのサイトの以下のページをご覧ください。楽しいですよ。
と、ここまで書いておいてなんですが、このレンズを選んだ理由はマクロではありません。「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」が焦点距離60mmのFXフォーマット用レンズであり、
DX換算で90mmになるからです。
NikonのDXフォーマットとFXフォーマット
私では説明が難しいのですが、Nikonの一眼デジタルカメラとレンズにはDXフォーマットとFXフォーマットという2種類が存在します。
FXフォーマットのカメラはプロ使用のカメラで、高額ながら耐久性や堅牢性に優れており、ハードに使っても繊細な描写が可能です(使ったことがないので伝聞ですが)。DXは比較的安価で初級入門機や中級機といったラインナップです。
上記よりも重要な違いは、何よりも画像素子の大きさです。FXフォーマット用は画像素子が大きく、受光量も余裕があり高い画質で撮影が可能です。DXフォーマット用はFXフォーマット用の半分以下のため、それだけ画質が劣るといます。
ここで重要なのはDX用レンズやFX用レンズが存在している点です。画像素子の違いのためにDXフォーマット機にFXフォーマット用レンズを付けると
焦点距離が1.5倍程伸びるのです。
そして、「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」はFXフォーマット用レンズであり、D5000はDXなのでまさにこのような焦点距離の変化が起ります。
結論としては、「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」をD5000につけると、焦点距離が60mmから90mmになります。この90mmがこのレンズを選んだ理由です。
なお、こんな説明ではいろいろ分かり難いと思いますのでメーカーサイトをご案内したいのですが、いいページがみつかりません。メーカーサイトなのに…。やむなく、メーカ以外のお力を借ります。
しかし、検索結果は知恵袋や掲示板などがほとんどを締めますね…。メーカーサイトで説明している所はないものなのか。
物撮りで重要な焦点距離
蛇足が長くなりましたが、話を戻します。
物撮り(ブツ撮りとも言いますが、ここでは商品撮影の意味で用いています)で重要なのは形が歪まないことです。大抵の焦点距離の範囲で商品をファインダーにおさめることは簡単ですが、広角であればあるほど形が歪みます。最も分かりやすいのは魚眼レンズでしょうか。極端にいえばあの様なゆがみが表れます。
形を歪ませないための対応策としては望遠で撮ることがもっとも安全確実な策です。
しかしながら、私はスタジオを持っていませんのでロケ撮影しかできず、何メートルも離れることができません。検討した結果、なんとかの使える焦点距離のラインは100mmでした。ここで前段のDX換算90mmが活きてきます。この焦点距離で10万円も越えずに購入できるレンズはこれしかありませんでした。
いや、「AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR」というDXで85mmのレンズもあるのですが、評判がすこぶる悪く。信頼して使えそうにありませんでした。
物撮りに適した絞り値
焦点距離が長ければ圧縮(遠景と近景の距離が非常に近く見えるように写ります)が起りますが、100mm程度の距離では全然期待できませんので被写界深度の調整は重要になります。
前述の被写界深度に関係しますが、基本的にブツ撮りであれば輪郭はシャープである必要があります。被写界深度が浅いとボケるので、深くするわけですね。操作としては「絞り」を調整してF値を大きくします。
絞りは光を取り込む量を変化させるための羽の開き具合でして、ここを絞って隙間を小さくすれば被写界深度が深くなり、開放して隙間を大きくすれば被写界深度が浅くなります。被写界深度が深ければそれだけピントから遠い所でもボケずに写る訳ですね。
ただし、最大まで絞り込むと回折という現象が起こりボケが表れます。絞る場合は適度な所で止める必要があります。
F値はこの絞りの具合を表しているのですが、数値が大きくなる(例:F14)となると絞った状態で、数値が小さくなる(例:F3)と開放した状態です。慣れるまでは少々ややこしいところですね。
もっとちゃんとしたF値の説明を読みたい方は下記のサイトをご覧下さい。
私が90mmのレンズを物撮りで使う場合、絞り値はF14前後が多いです。商品の大きさ特性、照明の明るさや撮影時のイメージにもよりますが、だいたいこの辺りです。
なお、参考までにF値を変えて撮影した写真を右にならべておきます。クリックで拡大できますので拡大してご覧下さい。使う場所にも寄るのですが、F14ぐらいがシャープで良いかと。ヘッダーのイメージ画像などであればf3でも問題ないと思います。
F値の選択に限りませんが、どういう写真を撮るかを明確に計画している必要があります。
ちなみに照明は外光のみでレフ板もディフューザーも使っていません。レフ板やディフューザーの説明は後ほど別の記事で行う予定ですが、なぜ畳の上なのかということも記事にします。個人的にはわりと重要な部分ですので。
レンズへの信頼感
まだ会社にいたころ、最初にブツ撮りをしたのはリコーのGRD2というコンデジでした。次いで、フリーになる際に一眼を買わねばとEOS-Kiss Digitalの初期型を中古で買って撮影しました。この当時は安くあげようという気がとても強かったための選択です。
振り返ると、あの当時はお粗末すぎる写真を何枚も撮るはめになりました。その後これでは行けないと当時新品で並んでいたD5000を購入。現在に至ります。
D5000購入後、最初は付属のレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」を使っていましたが、前述のゆがみの問題に加えてどうにも写りが良いようには思えませんでした。腕の問題が多分にあったのですが、レンズも悪いのではと。そこで、思い切ってこの記事の「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」レンズを購入しました。
こんなに高いレンズが自分に使えるのかと不安でしたが、購入によってレンズのせいにはできなくなり、腕を磨くことに集中できました。
つまりは信頼できるレンズがあれば、疑うべきは自分の腕しかないのです。
自分なりに信頼できるレンズを購入し使用することは大切です。別に高価でなくとも構いません。どのような理由であれ信頼できる根拠があれば良いのです。
単焦点レンズ
全くの個人的考えからですが、ズームよりも単焦点レンズを信頼しています。
理由は簡単で、焦点距離をきっちり決めて調整されたレンズだからです。ズームは非常に便利なのですが、その分単焦点に比べて調整が甘くならざるを得ないといえます。なにせ10から100のような変化があるのですから、どの数値でも高い精度をというのは虫の良い話かと。
レンズの種類や本体により写りは変わりますが、レンズ単体の信頼感と言う意味では単焦点に重きを置いています。
結び
絞りやらDXやらの話を含めると当初の予定を大きく越えてしまいました。もっと短い予定だったのですが…。商品撮影に関わるレンズですから、いろいろと書きたいことが増えてしまった結果ではあります。
ちなみに、「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」は何年も前に発売されたレンズです。ですが、その性能は素晴らしくいま新品で買っても十分使えます。NikonのD3000やD5000やD7000番台の方でブツ撮りをされる方にはお勧めできます。
もちろん、もっと高額で高性能なマクロ以外の単焦点レンズを購入できるならその方が良いと思います。なんだかんだでマクロは扱い難いので。
プロカメラマンでもないWEBデザイナーが高価な撮影機材を買う必要があるのか、という疑問をもたれるかもしれません。いずれこの件に関する考えは述べようと思っていますが、今はレンズに絡んで一言だけ。
良いレンズは写真の質だけではなく、作業効率も上げます。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
テスト撮影
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDをつかったテスト撮影(主にライティングテストのためですが)を行いましたので、作例としてどうぞ。
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